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第184話~第186話 おじいちゃんとおばあちゃんのデート
★第184話「おじいちゃんとおばあちゃんのデート(1)」
翌日、おじいちゃんとおばあちゃんがおめかしをして映画館へ。二人きりの映画デートなんて、何十年ぶりのことでしょう。二人は並んでコメディ映画を楽しみ、大いに笑いました。
おばあちゃん「こんなに大笑いしたのは久しぶりだわ! 面白かったわね」
「ああ、期待以上に面白かったな」と微笑むおじいちゃん。おばあちゃんの楽しそうな様子に胸をなでおろしています。
それからおじいちゃんは、おばあちゃんをとある喫茶店に連れて行きました。
おばあちゃん「あら…? この喫茶店は…」
おじいちゃん「懐かしいだろう? もしかして、と思ったんだが、まだこの場所にあったんだな」
若かりし頃のおじいちゃんとおばあちゃんがよく訪れていた喫茶店です。しかしマスターはすでに亡くなっていて、息子さんが後を継いでいました。
(つづく)
★第185話「おじいちゃんとおばあちゃんのデート(2)」
おじいちゃん「そうですか、マスターは心筋梗塞で…」
おばあちゃんを連れて思い出の喫茶店を訪ねたおじいちゃんは、マスターの息子さんからマスターが亡くなったことを聞きました。
息子さん「父が亡くなって、もう10年になります。この店をどうしようかと思ったのですが、父の思い出が詰まっている所だから、僕が会社を辞めて後を継いだんです」
マスターは突然、心筋梗塞で倒れ、そのまま帰らぬ人に…。何の心の準備もできないまま夫を亡くした奥さんは、3か月も寝込んでしまったそうです。息子さんはそんな奥さんを支えながら喫茶店を守っていく決意をしたのでした。
マスターはおじいちゃんのギターの先生でもありました。息子さんを交えて昔話に花を咲かせ、おじいちゃんとおばあちゃんは楽しいひと時を過ごしたのです。
(つづく)
★第186話「おじいちゃんとおばあちゃんのデート(3)」
喫茶店を出たおじいちゃんとおばあちゃん。残念ながらマスターは亡くなっていましたが、息子さんが立派に後を継いでいたことを、おじいちゃんは嬉しく思いました。
(この喫茶店が変わらず営業していて、本当に嬉しかった。マスターも喜んでいるだろうな…)
一方、おばあちゃんはだんだん真顔に。そしてマスターの死後、寝込んでしまった奥さんを思い出し、「おじいさんが逝ってしまったら、私も寝込んでしまうかしら…」とぼそり。
おじいちゃんは「え? なんだい?」と聞き返しましたが、おばあちゃんは「いいえ、なんでもないわ」と濁し、心中である決意をしました。
それは、おじいちゃんが希望している生前葬を認めてあげること。
おばあちゃんは密かに自分に言い聞かせたのです。「いつか必ず別れの日が来るのだから、ちゃんと受け止めよう」「一番しっかりしなければいけない私が寝込んで、家族に迷惑を掛けてしまったら申し訳ないもの」と。
こうしておじいちゃんはおばあちゃんの了承を得て、ようやく生前葬の準備を始めました。
(つづく)