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第148話~第150話 次男の本当の気持ち
★第148話「次男の本当の気持ち(1)」
次男の尾行が見事にバレてしまったおじいちゃんですが、次男に連れられ、ある建物の前にたどり着きました。今は亡き、おじいちゃんの弟が子どもたちに紙芝居を披露していた児童養護施設です。
おじいちゃん「この施設は…」
次男「うん。大叔父さん(おじいちゃんの弟)がボランティアをしてた児童養護施設。僕も週1回、通ってるんだ」
次男はおじいちゃんの弟の葬儀に駆けつけた子どもたちの姿に感動し、児童養護施設に興味をもつようになりました。そして、後を継ぐように定期的に訪れるようになり、子どもたちに勉強を教えたり一緒に遊んだりしていたのです。
子どもたちに囲まれ、楽しそうな笑みを見せる次男。いつもよりも頼もしく見えます。
おじいちゃんは目頭を熱くさせ、ぽつりと呟きました。「弟も喜んでいるだろう」
(つづく)
★第149話「次男の本当の気持ち(2)」
児童養護施設からの帰り道、おじいちゃんは次男に尋ねました。
おじいちゃん「大学を辞めたいというのは、このボランティアと関係があるのかい?」
次男「うん。ここの職員になって働きたいんだ。僕に合ってると思うし、初めてやりたいと思える仕事に出会えたんだよ」
おじいちゃん「何も大学を辞めなくても、卒業したら就職すればいいんじゃないのか?」
次男「もちろんそう考えてたんだけど、施設の人手が足りてなくて、職員さんたちが本当に大変そうなんだ。でも今は大学もバイトもあるから週1回しか行けない。すごくもどかしくて、それが卒業まで続くのかなって思うと、そもそも大学に通う意味があるのかなって。やりたい仕事を見つけたんだし」
次男の主張は一理ある。まだ頼りない子どもと思っていたが、立派に成長したもんだ、とおじいちゃんは喜ばしく思いました。
おじいちゃん「よし、お前の言い分はわかった。おじいちゃんに良い考えがあるぞ!」(つづく)
★第150話「次男の本当の気持ち(3)」
大学を辞めて、人手の足りない児童養護施設に就職したい。そんな次男の気持ちを知ったおじいちゃんが「良い考えがあるぞ!」と張り切っています。
次男「良い考えって?」
おじいちゃん「まず、おじいちゃんからお父さんとお母さんに話してみるよ」
次男「無駄だよ。お父さんは僕の話を聞いてもくれなかったんだから」
おじいちゃん「無駄かどうかはやってみないとわからないし、やってみないと何も変わらないぞ。まあ、おじいちゃんに任せなさい。悪いようにはしないから」
おじいちゃんはその晩、お父さんとお母さん、おばあちゃんを書斎に集め、ボランティアのことを明かして次男の気持ちを代弁しました。
お母さん「ボランティアのこと、全然気づかなかったわ」
おばあちゃん「おいっこの相手もよくしてるし、子どもが好きなのね。優しい子だから、施設で働くのは案外向いてるのかもしれない」
「そうですね」とうなずくお母さん。お父さんは無言のままです。(つづく)