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互助家のひとびと

第112話~第114話 おじいちゃん、弟の葬儀を終えて

★第112話「おじいちゃん、弟の葬儀を終えて」

帰り際、「いいお葬式でした」「紙芝居、よかったです」など口々に声を掛けられたおじいちゃん。そこへ弟の親友・南さんがやってきました。

「素晴らしいお葬式でしたね。弟さん、心なしか笑顔に見えました」

「ありがとうございます。…南さん、本当にありがとうございました」

おじいちゃんは深々とお辞儀をしました。「長年、弟によくしてくださって、私にボランティアのことを教えてくださって。弟のことを児童施設に知らせてくださったのも、南さんでしょう?」

南さんに再度お礼を言って、帰宅したおじいちゃん。なぜだか縁側で肩を落としてぼんやりしています。

(もっとできることがあったんじゃないだろうか…?)

「父さんはよくやった。おじさんもきっと天国で満足しているよ」と、いつの間にか隣に座っていたお父さんの声が。

「そうだな。また互助会に御世話になって、これからも付き合いが続きそうだ」

ようやくいつものおじいちゃんらしい笑顔を見せました。(つづく)


★第113話「おじいちゃん、四十九日の準備を始める」

弟の葬儀に続いて初七日を終え、一息つく間もなく四十九日の準備を始めたおじいちゃん。法要は葬儀と同じホールで行なうことにしました。

「プランにはお斎(料理)も含まれてるんだな。それは勝手がいい」

準備は順調のようです。そして引き出物は、「こういうものは女性が選んだほうがいいだろう」と、おばあちゃんとお母さんに任せることに。

おばあちゃん「何がいいかしらねぇ? 予算は3000円くらいかしら?」

お母さん「一般的には2000~5000円ですね。お菓子や食品、日用品…。カタログギフトもありますよ。お母さん(おばあちゃん)、一緒にデパートに行ってみましょうか?」

おじいちゃん「じゃあ頼むよ。予算は3000円にしよう」

おばあちゃんたちはデパートに出かける日を決め、ちょっぴりウキウキしています。おじいちゃんは心の中で「やっぱり女性に任せて正解だな(笑)」と呟きました。(つづく)

 

★第114話「おばあちゃんが選んだ返礼品」

デパートに四十九日法要の返礼品を選びに行ったおばあちゃんとお母さんが帰ってきました。

「日本茶とえびせんべいのセットにしましたよ」とおばあちゃん。

おじいちゃん「えびせんべい…、弟が一番好きだった菓子だな。家に遊びに来るとき、よく持ってきてくれたものだ」

おばあちゃん「そうでしょう? 私もそれを思い出してね」

おじいちゃん「ありがとう。いいものを選んでくれた。きっと、弟はえびせんべいが好きだったなと懐かしんでくれる人もいるだろう」

おばあちゃん「はい」

「それじゃあ、お茶にしましょうか」とお母さんがキッチンへ。おばあちゃんは自宅用のえびせんべいを開け、「私たちもいただきましょう」とにっこり。

「おお、これはうれしい」とおいしそうにえびせんべいを味わうおじいちゃんですが、実は大きな悩みを抱えていました。(つづく)

 
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