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互助家のひとびと

第37話~第39話 おじいちゃん、エンバーミングって?

★第37話「おじいちゃん、エンバーミングって?」

北山さんの葬儀から10日後、奥さんから電話をもらったおじいちゃん。実は一つ、気になっていることがありました。

それは「エンバーミング」。

北山さんのご遺体と対面したとき、北山さんはまるで生きているかのようにイキイキとしていました。驚いたおじいちゃんはスタッフに尋ね、エンバーミングを施したのだと教えてもらったのです。

エンバーミングとは、遺体を洗浄・消毒し、血液を抜いて防腐剤を注入すること。必要に応じて顔などを復元処理したり、化粧を行なったりします。

エンバーミングによって遺体は10日~2週間程度、保存可能になりますが、北山さんにおいては長期保存は必要なかったはず。

それなら、なぜエンバーミングを施したのだろうか…?(つづく)


★第38話「おじいちゃん、友人の秘密を知る」

北山さんの遺体がエンバーミングを施されていたことに疑問をもったおじいちゃんは、思い切って奥さんに尋ねました。

「あの…、葬儀でスタッフの方から聞いたんですが、北山くんのご遺体にエンバーミングを施されたそうで…。余計なことだとは承知していますが、なぜかなと思いまして」

ここで奥さんは初めておじいちゃんに、北山さんが闘病生活をしていたことを明かしました。

「肝臓を患って、2年程、闘病生活をしていたんです。主人は気丈でしたが、すっかりやつれてしまいましてね。でも葬儀に参列してくださるみなさんには元気な姿を覚えておいてもらいたいと…。エンバーミングは主人の遺言にあったんです」

「北山くんが闘病生活を…。知らなかった」(つづく)


◆冠婚葬祭豆知識「エンバーミング」
http://www.gojyokuru.net/kankonsosai/knowledge/05.html


★第39話「おじいちゃん、北山さんと最期の別れ」

北山さんの奥さんとの電話を切ったおじいちゃんは、再び、北山さんのことを思い出していました。

―そういえばここ2年くらいだったな、北山くんと会っていなかったのは。

北山くんが引っ越したからと思っていたが、それだけじゃなかったのか。闘病生活をしていたとは…。

誰にも知らせなかったのは、心配をかけたくなかったからだろう。とくに私ら友人はみんな、もう年だからな。なかにはふさぎ込んでしまう人もいるかもしれない。

しかし、それでも会いたかった。そう思うのは、うん、私のわがままだな。

北山くんは最期まで立派な男だった。
病に侵されながらもなお、家族や友人、お世話になった人たちのことを考えていたのだから。

北山くん、君のような友人がいたことを誇らしく思うよ。ありがとう。どうか安らかに眠ってくれ―。(つづく)





 

 
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