★第67話「お父さん、“リタ活”を始める」

人が誕生してから死ぬまで、さまざまなイベントやセレモニーがあります。入学・卒業式、成人式、結婚式、葬式、法事など。ちなみに、これらにかかる費用の総額は700～1000万といわれています。

お父さんは結婚して子供も誕生していますから、残すイベント＆セレモニーは結婚記念日、葬式、法事。付け加えるなら、未婚の子供2人の結婚式や孫の誕生、親の葬式＆法事でしょうか。

「まだまだお金がかかるな…」とつぶやくお父さん。そして、ふと気づきました。

「親が揃って元気だからか、自分の死と向き合ったことがなかった。しかし当たり前のことだが、親より長生きできる保証はない」

やはり“万が一の備え”が大事。改めて実感したお父さんは、老後の楽しみ、健康や病気、それらにまつわる費用などについて、これからお母さんとじっくり話し合っていこうと決意しました。

こうしてお父さんは“リタ活”のスタートを切ったのです。（つづく）

◆生涯のセレモニーにかかる費用は？
http://www.gojyokuru.net/gojyokai/mechanism.html


★第68話「お父さんとお母さんの老後の楽しみ①」

「なあ、老後の楽しみって、何がある？」

ある日曜日の昼下がり、“リタ活”を始めたお父さんがお母さんに尋ねました。3月に入ってもまだ寒く、外は恵みの雨。二人はコーヒーを飲みながら、リビングでゆったりとくつろいでいます。

「そうねぇ。お義母さんと歌舞伎に行ったり、お友だちと映画に行ったりしたいわ」

「それは今もすでに楽しんでるじゃないか（笑）」

「あら。じゃあ、お父さんと世界一周旅行でもしようかしら」

「世界一周か…。それは悪くはないが、“じゃあ”で行けるほど、うちに蓄えはないぞ（笑）」

「それはそうね（笑）。でも世界一周はさておき、のんびり旅行したり、趣味を楽しみたいわ。あと楽しみといえば、やっぱり孫の成長ね。孫はかわいいもの！」（つづく）


★第69話「お父さんとお母さんの老後の楽しみ②」

お父さんとお母さんの孫は、現在、長男の息子一人。長女と次男が結婚したら、もっと増えるかもしれません。

「孫の成長、それは楽しみだ。孫は一人でも十分かわいいが、まだ結婚してない子どもが二人もいるからな」

「そうね。私はできれば女の子の孫もほしいわ」

「女の子もかわいいだろうなぁ。しかし、結婚していない子どもが二人…。一人は成人式もまだじゃないか」

長女は間もなく26歳。次男は18歳になります。

「そうね、成人式の準備もしなきゃ。まだまだお金がかかるわ」

「26歳といえば、結婚もそろそろかもしれないぞ」

「突然、『結婚する』って言い出すかもしれないわね。長くお付き合いしている人はいるから」

「その男が突然、『娘さんをください！』って来るかもしれないな…」

「ふふふ、そのときのお父さんが見ものだわ（笑）」（つづく）