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互助家のひとびと

第163話~第165話 おじいちゃん、葬儀の歴史を学ぶ

★第163話「おじいちゃん、葬儀の歴史を学ぶ(2)」

子供から葬儀の意味を問われたおじいちゃんは、互助会の営業担当にアドバイスを求めました。営業担当はまず葬儀の歴史について簡単に説明するようです。

営業担当「実は葬儀の起源は明確にはわかっていませんが、最古のものとして知られているのは、およそ5万年前の遺跡です。北イラクの洞窟で、ネアンデルタール人の遺骨と花粉の化石が発見されたそうなんです」

おじいちゃん「花粉?」

営業担当「はい。遺骨の周りにたくさんの花粉の化石が発見されたことから、ネアンデルタール人が死者を慰めるために、遺体に花を手向けたと見られているんです」

おじいちゃん「へぇ~! まさかそんな大昔の時代までさかのぼるとは! いやぁ、花粉の化石が見つかったなんて、ロマンを感じるね~」

営業担当は「はい、さようでございますね」と電話の向こうで微笑み、続いて日本の葬儀の歴史について話しました。(つづく)


★第164話「おじいちゃん、葬儀の歴史を学ぶ(3)」

営業担当が日本の葬儀の歴史について話し始めました。

営業担当「日本でも大昔から葬儀が行なわれていましたが、いつからという記録は残されていないようです。712年に編纂された古事記に、葬儀にまつわる記述があり、それが最古の記録と見られているようですね」

おじいちゃんは興味津々といった様子で電話に耳を傾けています。営業担当はわかりやすく要点をかいつまんで説明を続けました。

営業担当「日本では昔から、地域の繋がり、宗教の繋がりといった“共同体”が葬儀を取り仕切ってきたんです。悲しみに打ちひしがれているご遺族の負担を減らすために、ですね」

おじいちゃん「そういえば近所の人がよく手伝ったものだ」

営業担当「はい。しかし、特に都市部では地域の繋がりが希薄だったり、自宅ではなく葬儀場で葬儀を行なう人が増えて、近所の人たちが取り仕切ることは少なくなったんですね」

おじいちゃん「なるほど。共同体ではなく、家族が取り仕切るようになったわけだな」(つづく)


★第165話「おじいちゃんが見つけた答え(1)」

おじいちゃんは営業担当の話にうなずきながら、ふと同僚の北山さんの葬儀を思い出しました。

北山さんの葬儀は、北山さんの思い出の曲が流れる“音楽葬”でした。北山さんの息子が形見のギターで生演奏したり、北山さんの好物・つくねがお弁当で振る舞われたり。北山さんの人柄が表れた素晴らしい葬儀だと、おじいちゃんは感動したものです。

おじいちゃんが弟の葬儀で、弟が手作りした紙芝居を披露したのも、弟の人柄を知ってほしいからでした。

おじいちゃん「家族が葬儀を取り仕切るようになった今、葬儀の形もいろいろありますね。家族が故人の想いを汲んだり、家族が故人のためにできるだけのことをしたいという気持ちもあるでしょう。やはり葬儀は、故人のため。故人に安らかに旅立ってほしい、そんな願いから葬儀をするんじゃないだろうか」

子供の「なんでお葬式をするの?」という問いに対し、おじいちゃんはようやく心から納得できる答えを見つけた気がしました。ところが、営業担当が思いもよらない質問を投げ掛けてきたのです。(つづく)


 

 
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