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互助家のひとびと

第118話~第120話 おじいちゃん、散骨の手続きへ

★第118話「おじいちゃん、散骨の手続きへ」

弟の納骨についてお父さんに相談したおじいちゃんは、もやもやとした気分がようやく晴れたようです。

(私は散骨になんとなく抵抗を感じていて、死んだら墓に入るものと思っていた。それに、少し寂しい気分にもなった。墓参りに行けばいつでも語りかけられるのに、海に散骨したら…と)

おじいちゃんは遠い田舎にあった互助家の墓を、自宅からほど近い地に移したばかり。これまで弟となかなか会えなかった分、頻繁に墓参りをしようと考えていたのです。

(しかし、それは私のわがままだな。やはり弟の遺志を大切にするべきだ。弟の妻君と同じ海に散骨してやろう)

「よし、互助会に電話するか!」

おじいちゃんはすっきりした面持ちで互助会の担当者に電話をかけました。(つづく)


★第119話「おじいちゃん、散骨するため海へ―」

弟の遺言通り、海に散骨する決心をしたおじいちゃんは、互助会の担当者に散骨業者を紹介してもらいました。

やがて四十九日法要を滞りなく終え、海へ―。おじいちゃんたち互助家の面々は船に乗り、沖に向かっています。みな正装ではなく、普段着。散骨は、他人に迷惑をかけないように密やかに行なわれるべきものなので、平服が推奨されているのです。

おばあちゃん「きれいな海だわ。今日はお天気に恵まれてよかったわね」

「そうだな。久しぶりに船に乗ったが、とても気持ちがいい」と大きく息を吸い込み、満足そうなおじいちゃん。お父さんはそんなおじいちゃんを見て、安堵の表情を浮かべています。

そして船が停止し、いよいよ散骨式が始まります―。(つづく)


★第120話「おじいちゃん、弟の遺灰を海に還す」

散骨式が始まり、一同は一分間の黙祷を捧げました。そして順に献花を行なうと、おじいちゃんは紙袋を手に。そこには弟の遺骨を粉末状にした遺灰が入っています。

海洋散骨する場合は、遺灰を直接まくのではありません。風のある海上でまくと飛散してしまうため、自然に害のない水溶性の紙袋のまま投入して、すべての遺灰を海に還すのです。

おばあちゃんたちが見守る中、喪主であるおじいちゃんが遺灰の入った紙袋を海へ―。

すると紙袋がみるみる溶け、遺灰が海中に広がりました。おじいちゃんは「あぁ…」と声を漏らし、白く美しい遺灰をただただ見つめています。

お父さんは「叔父さん、ありがとう。安らかに眠ってください」と献花を投じました。

そして散骨した周辺を三周旋回し、汽笛の鳴り響く中、散骨式の幕を閉じました。(つづく)


 

 
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