これまでのお墓に代わる埋葬方法として注目を浴びているのが「樹木葬」です。
1999年に初めて樹木葬が行われ大きな話題となってから全国に広まり、多くの人が死後の埋葬法として樹木葬を選ぶようになってきています。
東京にも樹木葬が行える霊園は増えています。
2012年には小平霊園が都営霊園として初めて樹木葬の公募を行い、500体の募集に対して8169体の応募があり倍率が16.3倍となったことで大きな話題となりました。
東京の樹木葬の平均費用は73.2万円で全国平均の68.8万円よりもやや高くなっています。
お墓を新たに購入した場合には150万~200万円がかかりますので、樹木葬のほうが安く埋葬できます。
この記事では東京で樹木葬ができるおすすめの施設10か所をご紹介し、樹木葬の選び方や注意点を解説します。
こちらのページにも樹木葬についてまとめてあります。
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樹木葬については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
⇒ ご参照ください。
目次
樹木葬とは
樹木葬について法律上の明確な規定はありません。
施設の種類として「庭園型」「公園型」「里山型」の3タイプに分類できます。
庭園型
都市部にある寺院や霊園によく見られる施設です。
埋葬エリアの一部を庭園風に作り上げ、シンボルとなる木(シンボルツリー)の周りに草花を植えて、その土地の下に埋葬します。
公園型
近年作られた霊園の中には、公園のように芝生を一面に植えていて霊園には見えない雰囲気の施設ができています。
施設の中に樹木や草花をデザインした形で植え込み、その下に埋葬する設備を備えています。
里山型
里山型は、デザインを施してきれいに作られた施設ではなく、自然に近い雰囲気の中に埋葬するスタイルの施設です。
区画内に木が植えられ、その下に埋葬します。
樹木葬の埋葬方法
樹木葬には埋葬方法で「合祀タイプ」「個別タイプ」「共同埋葬タイプ」の3種類に分けることができます。
合祀タイプ
全ての人の遺骨を区分せずまとめて一緒に埋葬しているのが合祀タイプです。
合祀タイプが樹木葬の埋葬方法で一番費用が安いタイプです。
他の遺骨と混ざってしまうので、後から取り出すことは不可能です。
人によっては、こうした埋葬の仕方に抵抗があるかもしれません。
個別タイプ
契約した個人や家族向けに専用の区画を用意し埋葬するタイプです。
遺骨は施設が指定した骨壺や布袋などに納められます。
個別タイプに埋葬した場合であっても、一定期間が経過したのちには合祀される施設も多いようです。
共同埋葬タイプ
シンボルツリーの下に設けられた区分内に埋葬されるのが共同埋葬タイプです。
それぞれの遺骨は混ざらないようになっていて、費用は合祀タイプと個別タイプの中間になります。
東京の樹木葬の費用相場
東京の樹木葬の平均費用は「73.2万円」で、全国平均の68.8万円と比較すると多少費用がかかります。
東京は土地の価格や人件費が高いため、樹木葬の価格も高くなってしまいます。
それでもお墓を購入する場合には150万~200万円がかかりますので、それと比較するとかなり安い価格です。
樹木葬の費用が安い理由
樹木葬の費用がお墓と比べて安い理由は、墓石を用意する必要がなく、墓石を加工したり墓地に設置したりする作業費も不要です。
また、お墓であれば戒名代や永代供養の費用も必要ですが、樹木葬の料金にはそうした費用が含まれています。
その他、お墓の維持には毎年1万~2万円程度かかる管理費も樹木葬ではかかりません。
トータルの費用を見ても樹木葬は安いといえます。
東京の樹木葬おすすめ10選
東京都内で樹木葬ができる施設が多数ありますが、その中からおすすめの「施設10か所」を選びご紹介します。
<公営>
小平霊園
- 住所 東京都東村山市萩山町1-16-1
- アクセス 新宿線小平駅から徒歩6分
- 宗教宗派 宗教不問
都立小平霊園は、小平市・東村山市・東久留米市の3市にまたがる敷地にあり1948年に開園しました。
65万3000平方メートルという広大な面積のうち、半分が墓地で残りの半分が公園のように木々や草花が植えられているエリアになります。
四季を通して楽しめるように様々な花木が植えられており、近くに住む人の憩いの場所ともなっています。
小平霊園は、都立霊園で初めて樹木葬の募集をした施設として大きな話題になりました。
現在では、「樹木型合葬埋蔵施設」と「樹林型合葬埋蔵施」があります。
多磨霊園
- 住所 東京都府中市多磨町4-628
- アクセス 西武鉄道多摩川線多磨駅から徒歩7分
- 宗教宗派 宗教不問
多磨霊園は、1923年に開園された施設で、公園のような風景を取り入れた日本初の霊園です。
128万平方メートルの敷地は、8か所ある都立霊園の中では最大の広さとなっています。
敷地の半分が墓地で、残りの半分は緑豊かな公園エリアとして利用され、春には桜の名所として多くの人が訪れる場所です。
多磨霊園の樹木葬は樹林型合葬埋蔵施設で、芝生が植えてある土地の下に共同埋葬施設が用意されています。
遺骨は一人分を布袋に入れて埋葬します。
<民営>
満願寺
- 住所 東京都足立区栗原3-6-6
- アクセス 東武大師線大師前駅・西新井駅から徒歩6分
- 宗教宗派 宗教不問
満願寺は1574年に開かれた歴史ある真言宗のお寺です。
最寄りの駅から「徒歩6分」と近くわかりやすい場所にあります。
樹木葬のプランは「198,000円」です。
年間管理費不要で、お寺が責任を持って供養・管理してくれます。
證大寺
- 住所 東京都江戸川区春江町4-23-1
- アクセス 都営新宿線一之江駅から徒歩10分
- 宗教宗派 宗教不問
證大寺では、お寺タクシーや巡回バスが月1回無料で送迎サービスを行っています。
樹木葬は四季折々の美しい花が植えられたエリアに埋葬されています。
1名の個別タイプのプランは「38万円~」で、一定期間経過後は合祀されず、専用の納骨箱に入れて埋葬されます。
家族区画には8人まで納められ、ペットも一緒に眠ることができます。
水元霊園
- 住所 東京都葛飾区水元5-13-5
- アクセス 常磐線金町駅から車で6分
- 宗教宗派 宗教不問
水元霊園は、葛飾区の水元公園近くにある明るい雰囲気の民間霊園です。
周りは閑静な住宅街ですので、静かな雰囲気でお参りができます。
バリアフリー設計ですので、車いすの方も安心して利用可能です。
樹木葬のプランは、一人用で「39万円」です。
個別埋葬で合祀されません。
日野宿 みちの墓苑
- 住所 東京都日野市日野本町7-5-19
- アクセス 中央線日野駅から徒歩7分
- 宗教宗派 宗教不問
JR日野駅から徒歩7分の好立地にありながら、静かな雰囲気で四季折々の花木が楽しめる施設です。
苑内には5種類の庭園があり自然を感じながら散策できます。
樹木葬は、シンボルツリーの桜の木の下に様々な草木と眠ります。
一人用のプラン「10万円」で合祀されます。
礼拝室に毛献花台があり、そこでお参りするようになっています。
常楽院墓苑
- 住所 東京都立川市富士見町3-12-4
- アクセス 青梅線西立川駅から徒歩11分
- 宗教宗派 宗教不問
閑静な住宅街にある常楽院は鎌倉の建長寺を本山とし、ケヤキ造りの本堂を構えた300年続く由緒あるお寺です。
樹木葬のプランは1名用の合同タイプが「19万8000円」、個別タイプが「41万8000円」となっており、どちらも年間管理費等は一切不要です。
メモリアルガーデン調布
- 住所 東京都調布市上石原1-19-2
- アクセス 京王線西調布駅から徒歩約5分
- 宗教宗派 宗教不問
西調布駅から「徒歩5分」と便利な場所にありながら、静かで落ち着いた雰囲気の霊園です。
一般的なお墓の区画の他、壁面墓所、樹木葬、合祀墓など様々なプランが用意されています。
樹木葬は、専用の容器に遺骨を納め個別埋葬するようになっており、1区画に2名までで「56万円」です。
外苑こもれびの杜
- 住所 東京都新宿区南元町10-1
- アクセス JR中央線・総武線信濃町駅から徒歩5分
- 宗教宗派 宗教不問
都心で最寄り3駅から徒歩圏内にある便利な立地ながら緑に囲まれた閑静な雰囲気の霊園です。
管理・供養する香蓮寺は1628年から続く由緒あるお寺で、2022年には本堂が建て替えられました。
1階は会食ができる客殿、2階がエレベーターで上がれる本堂となっています。
樹木葬は個別タイプで13年後に合祀されるプランが「58万円(年管理費3000円)」、期間がたっても合祀にならないプランが「70万円(年管理費3000円)」です。
梅窓院
- 住所 東京都港区南青山2丁目26-38
- アクセス 東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩1分
- 宗教宗派 宗教不問
梅窓院は、世界的な建築家として有名な隈研吾氏が本堂をデザインしています。
銀座線外苑前駅から「徒歩1分」という非常に便利な立地で、都心の一等地にもかかわらず駐車場を完備した施設です。
都会の忙しい利用者に合わせて、開園時間は8時~20時15分と遅くまで対応しています。
樹木葬のプランは1名分「25万円から」で、個別納骨法要を希望の場合は「別途7万円」かかります。
納骨壇付き樹木葬は50万円からで、期間経過後は梅林苑で合祀されます。
樹木葬のメリット
樹木葬は自然回帰志向ということだけでなく、様々なメリットがあることから人気が集まっています。
具体的にどのような「メリット」があるのか確認していきましょう。
維持管理が不要
一般的なお墓の場合は、区画内の掃除や墓石の手入れなどは、遺族が行う必要があります。
そして墓地の管理施設に対して毎年管理費を支払います。
樹木葬の場合は、施設側がすべての管理業務を行うため、利用者の管理は不要です。
年間の管理もほとんどの施設ではかかりません。
お墓よりも費用を抑えられる
お墓を新規購入する場合、150万~200万円程度の予算を用意しておく必要があります。
樹木葬の相場は「20万~80万円程度」で、安いところでは一人「10万円」というところもあります。
年間の管理費も不要で、トータルでもお金がかかりません。
宗教・宗派を問わない
寺院が運営する樹木葬の施設であっても、宗教・宗派を問わず受け入れています。
一部では、檀家加入が条件となっているところもあるので、事前の確認が必要です。
お参りの対象がはっきりしている
樹木葬とともに人気があるのが散骨ですが、散骨は粉状に砕いた遺骨を海に撒きます。
遺族は海に向かって手を合わせることになりますが、手を合わせる対象物がないので、イメージが湧きにくいかもしれません。
樹木葬の施設では、シンボルツリーや故人の名を刻んだ銘板に手を合わせ、対象物がはっきりしているのでわかりやすいでしょう。
樹木葬のデメリット
樹木葬は人気を集めていますが、「デメリット」もあるので注意が必要です。
子や孫に承継できない
樹木葬を利用できるのは、申し込みをした本人や家族に限定されます。
その後の子や孫などに継承することはできません。
子孫に伝えていきたいということであれば、お墓を選択したほうがいいでしょう。
里山型は交通アクセスがよくない
里山型といわれる樹木葬施設は、市街地から離れた場所に位置しており、交通の便がそれほど良くないことが考えられます。
また、最寄り駅から上り坂を徒歩で上がっていくような施設もあるため高齢者や体が不自由な方には利用しにくくなります。
樹木葬を選ぶポイント
樹木葬を選ぶ際には、死後その場所にずっと眠ることを考慮し、しっかり考えて納得した施設を選ぶ必要があります。
樹木葬を選ぶポイントを「6つ」紹介します。1.雰囲気・環境
施設の雰囲気は、行ってみないとわかりません。
幹線道路が近くうるさかったり、建物の影になって日当たりが悪かったりする施設もあります。
実際に足を運んで、自分の目で見て確認することをおすすめします。
2.埋葬方法
埋葬方法は、施設やプランによってかなり違いがあります。
個別埋葬であっても、骨壺に納めるところもあれば、布袋に入れて埋葬するというところあります。
埋葬方法は必ず確認しておきましょう。
3.お参りの方法
樹木葬の施設のお参り方法は、お墓とは異なる施設独自のルールが決められています。
お線香はたかず、お花は決められたところに供えるようになっています。
お参りの方法も現地で聞いておくといいでしょう。
4.宗教・宗派のルール
樹木葬は、ほとんどの施設で宗教・宗派に関係なくどなたでも受け入れてもらえます。
ただし、一部ではお寺の檀家加入が条件となっているケースもあるので確認しておきます。
5.交通手段
普段は車を利用している人も、将来高齢になって運転しなくなることもあります。
公共交通機関を利用する交通アクセスもチェックしておきましょう。
6.管理体制
施設の管理状況もチェックしておきましょう。
樹木の手入れ、施設内の清掃、設備の不具合など細かく見ておくといいでしょう。
併せて、管理者の人柄も知っておくようにします。
お墓との違い
樹木葬とお墓の違いを、「3つのポイント」からみていくことにしましょう。
1. 継承するかしないか
お墓の基本的な考え方は、先祖代々の御霊を守り、子孫に引き継いでいくということです。
そのため、お墓の管理は家族が行い、管理にかかる費用も継承し負担します。
これに対し樹木葬は、子孫に継承することはできず、利用できるのは契約した人に限定されます。
2. 遺骨の供養方法
お墓に納める遺骨は、個別に骨壺に入れられて埋葬されています。
樹木葬の場合は、死後の自然回帰志向から、遺骨は土に還ることを基本としています。
個別埋葬であっても一定期間が経過した後は、合祀されて土に還るケースが多いです。
3. 費用
新規でお墓を購入すると、150万~200万円のお金がかかります。
先祖からのお墓に入るのであれば、購入費は不要ですが、その場合でも毎年1万~2万円の管理費の支払いが必要になります。
樹木葬の場合の必要費用は「20万~80万円程度」で、毎年の管理費もかかりません。
樹木葬で注意すべきポイント
樹木葬は新しい埋葬法ですので、まだ馴染みがない人も多いのが現実です。
トラブルにならないように、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
周囲の人の理解を得る
樹木葬を選ぶ人は年々増えていますが、それでも世間の半数程度の人は樹木葬のことをよく理解していません。
これまで続いてきたお墓を守り次の世代につなぐことが大切だと考える人が家族や親せきにいれば強く反対されるかもしれません。
樹木葬を選択する前に、家族や親せきと話し合い十分に理解してもらってから決定したほうがいいでしょう。
遺骨は返還されないことを理解する
合祀された遺骨は他の遺骨と混ざった状態で埋葬されます。
そのため、一人分の遺骨を特定して取り出すことはできません。
後からお墓に埋葬したいとしても、遺骨の返還はできないことを理解しておく必要があります。
自分で草木を植えることはできない
庭園型や公園型の樹木葬施設には、きれいな草花が植えられています。
たとえ区分されたエリアであっても、自分好みにしたいと草花を勝手に植えることは禁止されています。
施設内の樹木や草花は、施設側が管理しているので、利用者は見て楽しむだけにしましょう。
樹木葬が話題になっている背景
1999年に岩手県の大慈山祥雲寺(現:長倉山 知勝院)で初めて樹木葬が行われました。
それまでお墓に埋葬するのが当然と考えられていたところに、新しい埋葬方法として提示されたことで大きな話題となりました。
自然回帰の考え方と里山緑化がつながり、マスコミでも大きく報道されることになります。
その後、樹木葬は全国各地に広がり、2012年には小平霊園が都立霊園として初めて樹木葬の公募をしました。
予想をはるかに超える多くの応募があったことで、樹木葬に対する人気の高さが現れ話題になりました。
その後も、樹木葬は各地で広がっており、新規でお墓を購入する人よりも樹木葬を選ぶ人のほうが多くなるほどの人気が続いています。
申し込みから納骨までの流れ
情報収集から契約までの手続きは、お墓を購入する場合とほぼ同様です。
1.情報収集
ネットで公開されている情報を集めたり、墓石店などでパンフレットを集めたりして樹木葬施設の情報を収集します。
2.現地見学
価格や立地などで興味を持ったところがあれば、予約を入れて現地を見に行きます。
施設内の様子のほか、交通アクセス、周囲の環境や雰囲気、プランの詳細などを十分に確認しておくことが重要です。
不明点があれば、躊躇せずその場で質問して明らかにしておきましょう。
3.契約・入金
施設内容やプランなど十分に納得し気に入ったら、契約書に押印し料金を支払います。
死後ずっと眠る場所になりますので、じっくり検討して決めましょう。
使用許可証の交付
入金が確認されると、施設側から使用許可証が発行されます。
許可証が出ることで樹木葬の利用が可能になります。
埋葬までの流れ
埋葬までの手続きはお墓の場合とほぼ同じです。
散骨の手続きとは異なりますので注意しましょう。
1.死亡届を提出
管轄の役所に死亡届を提出し、火葬許可証の発行を受け取ります。
2.火葬
遺体を火葬場に搬送し火葬します。
後日、火葬をした火葬場から埋葬許可証が送られてきます。
3.樹木葬の施設に埋葬許可証を提出
埋葬許可を受けたことを、申し込んでいる樹木葬施設に連絡し、埋葬の日程を調整して設定します。
施設やプラン内容によって埋葬方法に違いある場合があるので確認しておきましょう。
【東京の樹木葬おすすめ10選】選び方や注意点を解説 まとめ
樹木葬は価格の安さやもありますが、子どもに負担をかけたくないという方やお墓を引き継ぐ子どもがいない方が増えたことで利用者が大きく増加しています。
東京では庭園型や公園型の樹木葬施設が多く、人気となっています。
今後も少子高齢化が進み、葬儀やお墓に対する考え方も変わってきたこともあり、樹木葬を利用する方が広がっていくことが予想されます。
人気に伴い様々なサービスが提供されるようになっていますので、選ぶ際には自分の希望に合うかどうかをしっかりと見極めることが重要です。