今回は、世田谷八幡宮を訪れました。世田谷八幡宮は、その名のとおり八幡神を主神として祀っている神社です。八幡神を信仰している神社は全国に7,800超もあり、その数は稲荷神社に次いで多いとされています。八幡神は、古来より武運の神として日本中の武家が崇めてきました。神道では第15代天皇である応神天皇を八幡神としています。この世田谷八幡宮は八幡大神(応神天皇)、仲哀天皇(第14代天皇、応神天皇の御尊父とされる)、神功皇后(仲哀天皇妃、応神天皇の御母堂とされる)の3神を祭神として祀っています。なお、八幡神社の総本社は大分県の宇佐神宮です。
神社は明治維新後、太平洋戦争前までは国家神道の元で伊勢神宮を頂点とした社格制度に組み込まれていました。世田谷八幡宮は、官社(国から奉幣を受ける神社)の次の格である諸社のひとつ郷社として各付けられ、世田谷の総鎮守として社名も宇佐神社と称されていました。戦後は国家神道の廃止とともに社格制度もなくなり、社名も古くからの世田谷八幡宮に戻り現在にいたっています。
大鳥居を潜ると二ノ鳥居の手前右手に赤い鳥居が見えます。見ると厳島神社とあります。こちらは広島県にある厳島神社を総本社とし全国に約500社ある厳島神社のひとつです。厳島神社は、ここ世田谷八幡宮以外も八幡宮と隣接している社があるようなので、何か理由があるのかもしれません(調べて見ましたが分かりませんでした m( _ _)m )。
厳島神社本社は、皆さんご存知の日本三景のひとつ「安芸の宮島」として、そして世界遺産にも指定されている、海上に建立されている神社です。古来より宮島そのものが信仰の対象となっていたせいか、全国各地の厳島神社も水(池や堀)を近くに配することが多く、ここ世田谷の厳島神社にも池があります。鯉や亀が泳ぎ、鴨がのんびりと過ごす池の周囲は、慌ただしい日常を癒やしてくれる、憩いの場ですね。
二ノ鳥居を潜ると、右手に何やら広い空間があります。足を向けるとそこには土俵がありました。この土俵では江戸時代に、豊作を感謝する奉納相撲が毎年とり行われていて、渋谷の氷川神社、大井の鹿嶋神社とともに江戸郊外三大相撲と呼ばれていたそうです。現在でも秋の例祭(9月15日)には東京農業大学相撲部による奉納相撲が行われているということです。
土俵を後にして、結構広い境内を進むと奥に拝殿が見えてきます。左手にある手水舎でお清めをして、参拝をしました。境内右奥には戦没者を祀る世田谷招魂社が置かれた、ちょっとした森のようなエリアもあります。
帰り際に、こんな張り紙を見つけました。お寺では檀家離れが進んでいますが、神社も氏子の数は減っているでしょう。世田谷八幡宮も同様の課題を抱えているのだろうと思いますが、より身近な存在に進化していこうとされているのかもしれませんね。東急世田谷線宮の坂駅で下車するとすぐ西側にある神社なので、気軽に訪れることができます。奉納相撲の土俵周辺に設けられた客席(土がむき出しですが)に座ってお弁当を広げるのもいいかもしれません。