今回は隣国である韓国のお墓事情をレポートします。
韓国の人口密度は513人/平方キロメートルと、私たち日本の335人/平方キロメートルよりかなり密集しています。
日本よりも墓地にする用地が不足していそうですね。
昔は土饅頭のお墓だった
韓国も中国同様に儒教の影響から土葬が中心でした。
時代劇の中で、土饅頭のようなお墓にお参りをしているシーンを見かけることがあります。
この土饅頭型のお墓が韓国のお墓の主流だったのです。
墓地の場所は山間部が多いらしく、地方に行くと芝が植わり公園のように整備された中にいくつもの土饅頭がある、そんな場所がたくさんあります。
富裕層は山1つを墓地専用に購入して、山全体を一族の墓所としていたそうです。
富裕層以外は単独の土饅頭ですが、土饅頭は故人1人に1つです。
この方式だと、山という山がお墓に、そして山の中はお墓だらけになってしまいますね。
そしてお墓にできる山には限りがあります。
現在はロッカースタイルが主流
現代劇のドラマでは、ロッカースタイルのお墓にお参りをしているシーンをよく見かけます。
このスタイルが現代のお墓の主流だそうです。
墓地にするための土地が枯渇してきている状況から、韓国政府が土葬から火葬への転換と、納骨堂の推進に舵をきり、1990年代後半から急速に火葬が普及し始めました。
1991年に18パーセントだった火葬の比率が2011年には70パーセントを超えていますので、今では80パーセントを超えているのでは。
ドラマの納骨堂は、骨壷が置かれ故人の遺影やお花が飾られています。
日本もこれからは納骨堂が増えていくと考えられますが、韓国は納骨堂に関しては先駆者なのかもしれません。
地方には多用な葬法が残る
地方によって葬法には特色があります。
観光地としても著名な済州(チェジュ)島は、いまだに土饅頭スタイルの土葬が中心だそうですし、珍島(チンド)という島や一部の地域では、草墳といわれる全体を藁で覆った小さな古墳スタイルのお墓がまだ残っています。
墓地にする用地の不足は、どの国も悩みの種ですね。
納骨堂にしても、いつかは限界がくるでしょう。
日本の「墓地、埋葬等に関する法律」にあたるのが「葬事等に関する法律」です。
この法律の2007年改正によって、自然葬制度が導入されました。今は樹木葬が人気を集めているそうです。
日本では例え樹木葬の墓所だとしても、その敷地の造成には都道府県の認可が必要ですが、韓国では届出制である上に、個人でも墓所を造成することができるようです。
自然葬の普及に政府がかなり力を入れていることがわかりますね。