少し目先を変えて、日本ではなく海外のことも記事にしてみます。今回は中国のお墓事情を調べてみました。
中国の埋葬方法
中国では儒教の影響から土葬が中心でした。それが1950年代に毛沢東が始めた「殯葬改革(ひんそうかいかく)」といわれる葬儀改革によって、国策として土葬から火葬への切り替えが進められます。表向きは伝統的な文化や古い慣習を忌避し変革するため、とされていますが、実情は土地の確保にあったようです。殯葬改革により、火葬が主流となりましたが、現在の政府はさらに改革を進めているようです。緑の葬式と称する、海洋葬、芝生葬、樹木葬などの自然葬を普及させようと力を入れています。
墓地が足りない
日本同様に、中国でも墓地不足が深刻化を増しているようです。広大な土地を有する国ですがその分人口が多く、土地も多くは平地ではないため墓地に回せる土地は日本より(人口比で)少ないのかもしれません。さらに日本とは異なり、「◯◯家の墓」という概念がないので(もっとも、この先祖代々の墓というスタイルが世界的には少数)、故人1人に1つのお墓が必要になります(夫婦2人が入るお墓はあるようです)。その数は加速度的に増えていくので、政府が自然葬に力を入れる必然性が理解できます。
土地制度からみても
そもそも、中国には私有の土地は存在しません。都市部の土地は国のもので、農村部の土地はその地域農民の共同所有です。土地の売買といわれる商行為は、所有権ではなく使用権の売買なのです。となると、永代供養ができる土地などはそもそも存在しないことになります。使用期間が終了したら、強制的に中の遺骨はどこかに移され、もしかすると廃棄処分されるのかもしれないですね。だとしたら、最初から散骨や、樹木葬で土と一緒に埋めてしまっても、変わらないことになります。
墓石とお墓参り
中国のお墓は、亀の甲羅を模したデザインの「亀甲墓」が多く見られます。長寿の亀にあやかってという説がありますが、すでに寿命を終えているので腑に落ちない話ではありますね。筆者は、古代中国の四神の1つである玄武を表したものではないか、と考えています。玄武には冥界と現世を往来する存在であると信じられていましたので、故人が現世に戻ってくるときのため、という思いが込められているのだと思います。
そんなお墓にお参りをする、日本のお盆やお彼岸に相当するのが「清明節」という行事です。4月5日前後(年ごとに決められるそうです)に3連休が設定されて、家族全員でお墓にお参りに行くのだそうです。お墓を掃除してお供えをしてお参りをする、ところまでは日本と変わりありませんが、清明節ではその後に墓前で大宴会が行われるそうです。なお、日本ではお墓参りに足が遠のきがちの人が増えていますが、中国では清明節への参加は絶対なのだそうです。恋人とのデートなど問題外ですが、例え重要な試験のために勉強したくても、海外の重要な取引先に会いに行く必要があっても、万障繰り合わせて出席するのです。「ちょっといい習慣だな」と思いました。