家族葬や直葬(火葬だけ行って埋葬する)などの小さなお葬式が増えています。
縁あった人が亡くなったとき、参列できるお葬式(お通夜)が行われないとしたら、お香典はどうすればいいのでしょうか。
お香典の本来の意味から考えると
現代では故人への弔意を示すものとして捉えられているお香典ですが、古くは香奠と表記され、香はお香(又は線香)に代えて供えるものという意味が、奠は霊前に供えるもので故人に対するお供えだけでなく遺族を助けるものという意味合いがありました。
そして金銭ではなくお葬式の際の食事に用いるための食料品などを供えていたのです。
ちなみに金銭となったのは武士階層で室町時代以降、庶民は明治以降といわれていて、特に農村部では戦後まで食料によるお香奠の慣習が残っていたようです。
このことから考えると、お葬式で遺族を助けるという必要性がないことになるので、お香典は必要ないということになります。
遺族の対応から考えると
(会葬者を招く)お葬式をしない、という選択肢を遺族が選んだ理由はさまざまでしょう。
その選択の是非はさておき、お葬式をしないということは弔問を受けるつもりはない、という遺族の意思の表れと考えて良いかと思います。
おそらくですが、遺族が故人と縁ある人に礼を尽くすつもりなら、訃報の中に直葬(家族葬)で故人を送る(既に送った)こと、お香典供花の類は固く辞退することが明記されているはずです。
辞退されているなら、その意に沿って何もしないことがマナーとされています。
後日弔問に出向くとしたら
故人との関係性によっては、後日直接弔意を示したい、故人とお別れをしたいと考える人もいるでしょう。
故人の自宅を訪れて線香をあげる、あるいはお墓参りをする、そんなときも、お香典本来の意味を考えると、お香典(告別式後は御霊前、四十九日法要過ぎたら御仏前となります)ではなく、お供え(線香やお菓子)やお花を持参すれば良いと筆者は思います。
線香をあげに伺うときにはお香典を持参するのが常識だという言う人がいますが、それはお葬式に参列できなかった人が弔問に行くときのことです。
金銭の場合は遺族がお返しを考えることも必要になるので、避けたほうが良いと思います。
なお、訃報でお香典供花の類を辞退された場合でも後日の弔問ではお供えを持参しても問題ないとされています。
なお弔問のタイミングは、遺族が選択した理由なども理解すること、その理由によっては遺族の心が落ち着いたころを見計らうことが必要です。そして、必ず弔問に伺うことの了解を遺族からとってください。