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数珠を巡る四方山話

記事公開日:2017.12.06/最終更新日:2023.05.12

読了予測:約3分

お寺にお参りをするとき、お葬式や法要で念仏を唱えるとき、手にかける数珠。仏様を念ずるときに用いることから念珠とも言われる仏具です。最近はファッションアイテムにも用いられている数珠を少し研究してみましょうか。

数珠の素材とパワーアイテム

古来より、仏教に限らず珠状の物体は、宗教的な意味を持っていました(日本では勾玉の時代からですね)。仏教では数珠ですが、他の宗教でも同様に珠をつなげ合わせた用具が存在しており、キリスト教の「ロザリオ」、イスラム教の「ミスパパ」などがそれにあたります。その材質には、水晶、珊瑚、真珠、オニキスなどの七宝と呼ばれるものや、翡翠や琥珀などの宝石、柘植や沈香、白檀などの木などさまざまなものが使用されます。いずれも魔除け、厄除けや福音などの効力を持つと信じられている素材で、念仏や祈りを唱える場だけでなく身に着けることでご利益がある、ということからパワーアイテムの1つとしてアクセサリーとしても人気ですね。アクセサリーの場合はブレスレッド形状のものが主流。仏具としても、数珠を小型化した腕輪念珠(または腕珠)と称して、仏具店やお寺でも販売されています。ただし腕輪念珠を実際に念仏や祈りを唱えるときに、手にかけるには小さくて無理があります。

数珠の用い方

数珠には、一連の片手数珠(略式数珠)と二連の本連数珠があります。本連数珠は宗派によりその形状や持ち方に正式な決まりがあります。片手数珠は、宗派に関係なく用いることができる万能数珠なので、さまざまな宗派のお葬式や、お寺で念仏を唱える可能性があるわたしたちは片手数珠を選択すれば問題ないでしょう。

その持ち方は、①左手に輪を通して合掌する、②合掌した両手に輪をかける、のいずれでも良いとされています。

数珠の起源と意味

その起源には諸説ありますが、有力な説はインドのバラモン教で用いられたものがルーツで、釈尊が用いるようになって仏教に広がり、日本には仏教伝来とともに伝わったとされているものです。正式な数珠には、108個の珠が繋げられていますがその数は、念仏を108回唱えることで百八煩悩を消し去る、あるいは百八尊の悟りを開くという意味を持っています。珠を1つずつ指先で手繰ることで、数を数えることに用いる場合もあります。映画やドラマで、そんなシーンを目にしたこともあるでしょう。

ところで、戦国時代には、出家した武将も多くいました。武田信玄や上杉謙信などは、常に数珠を携帯していたと伝えられていますね。謙信は数珠を持った肖像画もあります。出家したわけではありませんが、徳川四天王の1人とされている本多忠勝は、戦場に赴くときは、自分が葬った敵を弔うために常に巨大な数珠を肩からさげていたと言われています。信玄や謙信は僧侶ですから数珠を持つのは自然なのでしょうが、魔除け、厄除けのために僧侶以外でも数珠を身に着ける人が現代よりも多かったのかも、と考えたりします。キリスト教徒はロザリオを常に身に着けている人が多いと聞きます。わたしたちも、もっと数珠を身近なものにしてもいいのかもしれないですね。