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死装束を着せる理由

記事公開日:2017.11.06/最終更新日:2023.04.11

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日本では故人を納棺するときに、白い衣装を着せるのが一般的です。この衣装を死装束(白装束)と言います。なぜこの衣装を着せるのか、少し考えてみましょう。

元は巡礼服

死装束の代表的な例は、白地の経帷子(きょうかたびら)に経文などが記されたものを全身にまとわせ、宝冠または紙冠(かかぶり)などと呼ばれる白い三角形の布を額につけ、両手を手首から手の甲までを覆う手甲(てっこう)、両足首には脚絆(きゃはん)、足には足袋を付けるものです。白い衣装と白三角の布で日本の幽霊が頭に浮かぶのは、死者が最後に着る衣装なので、日本の幽霊が古くからこの装いで表現されてきたからなのでしょう。

でも、元来はこの衣装が死者と直接結びついていたわけではなく、仏教の巡礼者や修行僧の衣装でした。日本のお葬式は仏式で行われていたので、死者は浄土に旅立つあるいは善光寺などに巡礼に行く、という願いからこのような衣装になったといわれています。

なぜ白なのか

なぜ白なのかは、諸説あるようです。有力と言われているのが、日本では元来『紅白』という赤と白を一対とする考え方あり、「赤」が誕生を、「白」は死を表すので、白になったという説です。また白は穢れのない色だから、という説もあります。最近では白以外の衣装もあるようです。古くは家族、親族が手縫いで用意していましたが、今は葬儀会社が用意してくれるものを使う場合がほとんどです。

なぜ着せるのか

最近では、故人や遺族の思いを反映して、死装束ではなく故人が生前愛用していた衣装などを着せるケースも多く見くけられるようです。また、仏式でも浄土真宗は死出の旅路という考え方をとっていませんので、巡礼服である白い死装束は着せません。そして、キリスト教式も決まった衣装はありません。日本の死装束の定番と言える白い装束を着せる理由は、ひとえに故人が無事に極楽浄土に行くことを願うからです。信仰が薄れた現代においては、白い装束を着せる意味はあまりないのかもしれません。ただ筆者は、仏式(浄土真宗以外)でお葬式をあげるのなら、僧侶は故人が極楽浄土に行けるようお祈りを捧げてくれるのですから、それに合わせるならやはり白い巡礼服が一番なのかな、と思います。