冠婚葬祭に関する豆知識など、
様々なお役立ち情報をお届けします。

powered by ごじょクル

プラスの相続財産とマイナスの相続財産、そして相続財産にならないもの

記事公開日:2021.07.15/最終更新日:2023.05.09

読了予測:約3分

故人が残した財産が相続財産です。財産というので、現預金や土地家屋などの不動産をイメージする人も多いかと思いますが、故人に所有権がったものの全てが財産としての相続対象になります。

プラスの財産

プラスの財産は、相続することで金銭的な相続者にとって金銭的な価値が発生する例えば次のようなものです。

○ 現預金

○ 土地、家屋、借地権、借家権などの不動産

○ 株式、債権などの有価証券

○ 貴金属類

○ 書画、美術品、骨董品

○ ゴルフ会員権などの会員権

○ 特許権、意匠権、著作権などの知的財産

○ 自動車、二輪車などのモビリティ

○ 家財道具

これらの財産は全て、それぞれの査定方法で評価されて、相続税の算出根拠に参入されます。悩ましいのは次のような物ですね。

○ 稀覯本

○ 切手、コインなどのコレクション

○ 高級ワインなど、マーケットが存在するもの

古本の中には、希少価値が高く、マーケットに出せば驚くほど高い値がつく物もあります。切手、コイン、ワインなども同様ですね。一部のマーケットでは価値を認めている物、コレクションの類です。これらコレクションは、その価値を知らない人、興味がない人にとっては、単なる古本や古切手、飲料としてのワインなどでしかありません。古本は例えばブックオフで売ろうとしても、価値が分からずに値段がつかないでしょうし、ワインは高級だと知らずに飲んでしまえば、「美味しかったね」の一言だけで終わるものです。つまり、相続者がその価値を知っている場合には、相続財産と捉えてきちんと査定を受け、相続税の算出根拠となる財産に含める必要があるでしょう。

マイナスの財産

ひと言で言うと借金の類です。

○ 借入金

○ 未払金(税金などの公的費用、家賃なども含みます)

ほかに忘れがちなのが、故人が保証人や連帯保証人になっていた場合は、その地位もマイナスの財産として相続対象となることです。

相続税は、プラス財産とマイナス財産を相殺して判定されますが、明らかにマイナスの財産が多いことが分かっている場合は、相続を放棄するという手法をとることができます。

死亡保険金の扱い

故人が被保険者である死亡保険金は、保険料を支払っていた人と、保険金を受け取る人によって、相続財産に含まれるかどうかが決まります。具体的には次のようになり、それぞれの税金の種類が異なります。

○ 故人が保険料を負担し相続者が受取人の場合:相続財産(相続税)

○ 受取人である相続者が保険料を負担している場合:受取人の所得(所得税)

○ 被保険者(故人)、保険料の負担者、保険金の受取人の全てが異なる場合:受取人の贈与所得(贈与税)

相続財産の対象にならないもの

故人が負う義務や権利は「一身専属権」といわれて財産とはみなされません。例えば、年金の受給権や、運転免許などです。これは、物品ではないので分かりやすいと思います。それ以外には次の祭祀に関する物があります。祭祀に関する権利は喪主が受け継ぐことと定められており、相続財産の対象から外されていますので、たとえ物であっても財産とはみなされません。

【祭祀関係として相続財産に含まれない物】

○ 墓

○ 仏壇

○ 仏具 など

ただし、仏壇、仏具で、社会通念から逸脱するくらい高額である場合、例えば純金製の仏壇とか仏像などは、美術品とみなされて課税対象となる相続財産と判定されます。仏具は祭祀関連だからと、節税目的で高級仏壇を購入しても、相続税を免れることはできません。

 

相続は、相続が開始された日(故人が亡くなった日です)から3カ月以内に手続きを完了しないと、自動的にマイナスも含めた全財産を相続することになるので、十分な注意が必要です。