いまも続くコロナ禍によって、2020年4月以降は葬儀を巡る環境も大きく変化しました。感染リスクをなくすために、それまでは全葬儀種別の中で5%にも満たなかった直葬(火葬式)が営まれる比率が急激に伸び、ある調査では瞬間風速で50%を超える時もあったということです。緊急事態宣言の期間中は直葬が増え解除後に減少するという傾向が見られるようです。この傾向はコロナ禍が完全に収束するまでは続きそうです。これまでの直葬は主として葬儀に予算をかけることができない人が営む葬儀スタイルだと考えられてきました。しかし今回は全く別の理由ですので、直葬の後に改めて故人とのお別れをできるだけ多くの関係者が行うことができる「お別れの会(お別れ会)」を営むケースが増えることが予想されます。そこで今回は、コロナ禍で直葬を選択した場合の後のお別れの会について、まとめて整理をしてみました。
直葬(火葬式)の流れ
直葬は火葬のみを行う葬儀形式のことです。儀式を一切省く葬儀ですので、通常の場合には周囲の理解を得られないなどのデメリットが存在しますが、コロナ禍は特殊な環境下ですので周囲の理解を得ることは難しくないでしょう。ただし、訃報を伝えるときには「こんなご時世ですので火葬式(直葬)のみで葬儀は営みません」などと一言断りを添えるのが良いでしょう。また「後日お別れの会を営むことを考えています」と加えるとさらに良いかと思います。なお、儀式を行わないとしても、菩提寺があるならば事情を話して理解を得ておくことも必要です。菩提寺も通常と異なり理解してくれることでしょう。
亡くなった後に自宅に安置する場合の直葬までの基本的な流れは次のとおりです。
① 病院から自宅に遺体を搬送する
② 遺体の枕元に枕飾りを施す
昔ながらの慣習には、枕飾りを施した後に僧侶にお経(枕経)を読んでもらう、枕勤めと言われるものがあります。しかし、感染リスクを考えた場合にはこの儀式も省略されることがほとんどのようです。
③ 末期の水を取り、死に化粧を施す
④ 葬儀会社に遺体を預ける
タイミングは火葬場と葬儀会社のスケジュール次第です。直葬の当時となる場合は、自宅で納棺してそのまま火葬場に向かうことになります。いったん葬儀会社の安置場所に安置する場合は、納棺を自宅で行うか葬儀会社で行うかはケースバイケースだと思われます。いずれにしても、本来行われる納棺の儀も、死装束を着せて副葬品を納めるだけのように簡略化されることが多いでしょう。
⑤ 納棺された遺体を火葬場に搬送する
⑥ ごく親しい家族の立ち会いのもとで火葬を行う
火葬の炉前で僧侶に読経してもらうこともできますが、これも今は控えることが多いのでしょう。
⑦ 火葬場で荼毘にふされた遺骨を収骨(骨上げ)し骨壷に納める
⑧ 自宅に骨壷を持ち帰る
亡くなった後に遺体を安置するのが葬儀会社の安置場所となる場合は、ほぼ④以降と同様の流れとなります。
お別れの会の流れ
もともとのお別れの会は、一般的な葬儀では葬儀式と連続して営まれる告別式のことです。葬儀式は、宗教的な儀式で、宗教者の読経や祈祷、焼香や献花などの流れで故人の冥福を祈るものですが、告別式は宗教儀式の意味合いがもたれないか薄れ、読経や祈祷は行われずに、弔辞や弔電や読まれ、参列者が故人と「文字通り」お別れをする場です。つまりここでのお別れの会は、営むことができなかった告別式の代わりとなる場ということです。
お別れの会には形式というものが存在しませんので、本来は自由に開催して良いものです。しかし、家族葬など小さな葬儀を営んだ後に故人の友人・知人を広く招いて開催するお別れの会と異なり、コロナ禍のために葬儀を行うことができなかった場合のお別れの会は、それなりに故人を弔いお別れをする場として整えたほうが良いのかもしれません。ホテルやレストランを会場とするよりも、プロフェッショナルである互助会、葬儀会社に相談することをお勧めします。全国の多くの互助会でもアフターコロナでのお別れの会開催をサポートするサービスを始めています。
お別れの会の基本的な流れは次のようになります
① 会場を決める
ホテルのプランよりも斎場やセレモニーホールをお勧めします。
② 会場(互助会、葬儀会社)とプラン、式次第を決める
③ 案内状を出す
④ お別れの会を開催する
会の基本的な流れは次のとおり
・ 施主、喪主による挨拶(開会、閉会)
・ 宗教者を招く場合は読経、葬儀ミサ、祈祷、説教など
・ 故人の略歴紹介
・ 弔辞
・ 弔電披露
・ 焼香、献花
・ 会食