近年広まりを見せているエンバーミングの費用がどのぐらいかかるのか、気になる方もいるでしょう。
エンバーミングは、一般的に「15万円~25万円」程度が費用相場といわれています。
ただし、遺体の状態や追加処置によって変動します。
費用の内訳として、基本的な施術内容に含まれるのは防腐処理、着付け、化粧、納棺です。
追加費用としては、自宅や病院から施術施設への搬送費用がかかる場合があります。
また、遺体が軽度なケガや損傷を受けている場合、その修復費用が別途発生することがあります。
基本料金に含まれないことが多い内容として、事故などで大きく損壊した遺体の修復が挙げられます。
こうした修復には専門的な技術と追加の時間が必要となるため、別途料金が発生します。
その他、追加のドライアイスがかかった場合の費用なども基本料金に含まれてないことが多く、追加費用として請求されることがあります。
遺族がどのようなサービスを希望するかによって最終的な費用は変動することがあるので、サービス内容や費用の詳細を事前に確認することが重要です。
エンバーミングについては、こちらにも詳しくまとめていますので、ご参照ください。
【エンバーミングとは?】必要な場面や費用、メリット・デメリットを解説
⇒ ご参照ください。
目次
エンバーミングとは
エンバーミングとは、遺体を長期間美しい状態で保存するための技術で、防腐剤の注入や外見の修復を行い、遺体の腐敗を遅らせる効果があります。
日本では火葬が一般的ですが、最近ではエンバーミングを希望する方が増加しています。
エンバーミングが必要な場面には、火葬までの日数がかかる場合、遺体の損傷が激しい場合、または海外から空輸で遺体を搬送する場合が考えられます。
エンバーミングの必要な場面
エンバーミングが必要になる具体的な場面として、火葬までの日数がかかるケースがあります。
例えば、火葬場の予約が取れなかったり、遠方からの親族を待つために火葬の日程を遅らせる必要があったりする場合です。
また、法的手続きや調査のために遺体の保存が求められる場合にも用いられます。
さらに、事故や災害で遺体の損傷が激しい場合や病気の治療の影響で生前の姿と異なるケースでも、エンバーミングを施すことで外観を修復し、遺族が安らかにお別れできるようにすることがあります。
この他、海外から空輸で遺体を搬送する際にも、エンバーミングが必要とされることがあります。
これは、長時間の移動や温度変化により遺体が損傷するリスクがあるためです。
防腐処置を施すことで遺体の保存状態を保ちます。
エンバーミングとエンゼルケアや湯かんとの違い
エンゼルケアとは、遺体を清潔にし、顔色や髪を整えるなどの見た目を整える軽微な処置を指します。
湯かんも同様に故人の体を洗い清める、古くから行われているしきたりで、遺族が故人と安らかにお別れできるようにします。
一方、エンバーミングは、防腐処置を施し、遺体を長期間保存するための高度な技術を含みます。
具体的には、内部の洗浄や血液の防腐液置換、修復メイクなどが行われます。
エンゼルケアは主に外観の整備に重点を置き、エンバーミングは保存と衛生保全に重点を置いている点で異なります。
エンバーミングの費用相場
エンバーミングの費用は、一般的に「15万円から25万円」程度です。
この金額は、遺体の状態や施される処置の内容、地域や業者によって異なります。
例えば、損傷が激しい遺体の修復が必要な場合や、特別な処置が求められる場合には、追加料金が発生することがあります。
そのため、エンバーミングを依頼する際は、サービス内容や費用の詳細を事前に確認することが重要です。
エンバーミングの費用の内訳
エンバーミングの費用は基本的な施術内容に加え、追加のサービスや条件によって変動します。
遺族がどのようなサービスを希望するかによって、最終的な費用は大きく異なることがあります。
料金に含まれる内容
エンバーミングの施術
遺体の防腐処理を行う最も重要な部分です。
遺体に防腐剤を注入し、腐敗を遅らせることで、葬儀までの時間を確保します。
施術は専門の技術者が行い、高度な技術が求められます。
着付け
故人が希望していた衣服や、遺族が選んだ衣装を使って丁寧に着付けを行います。
化粧
遺体の顔色や外見を整えるための化粧をします。
これにより、故人が生前の姿に近づけられ、参列者が自然な形でお別れをすることができます。
納棺
遺体を棺に納める作業も料金に含まれています。
これには、遺体を丁寧に取り扱い、棺に安置するプロセスが含まれます。
業者により異なる料金
自宅(または病院)と施術する施設間の搬送
遺体の搬送にかかる費用は業者によって異なります。
自宅や病院からエンバーミング施設への移動には、専用の車両とスタッフが必要であり、その費用が追加されることがあります。
軽度なケガや損傷の修復
遺体が軽度なケガや損傷を受けている場合、その修復費用が別途発生することがあります。
これは遺体の見た目を整えるための追加作業となります。
基本料金に含まれないことが多い内容
事故などによる損壊の大きなカ所の修復
事故などで大きく損壊した遺体の修復は、基本料金に含まれていないことが多いです。
こうした修復には専門的な技術と追加の時間が必要となるため、別途料金が発生します。
衣装類
故人が着る衣装は遺族が準備することが一般的であり、エンバーミングの基本料金には含まれていません。
特別な衣装や装飾品が必要な場合は、別途用意する必要があります。
ドライアイス(施術始めるまでの保護が必要な場合)
エンバーミング施術がすぐに行われない場合、遺体の保護のために「ドライアイス」が使用されることがあります。
この費用も基本料金には含まれていないことが多く、追加費用として請求されることがあります。
エンバーミングのメリット
エンバーミングのメリットを「4つ」挙げて説明します。
保冷室に入れずに長期間保全できる
エンバーミングは、防腐処置によって遺体を保冷室に入れずに長期間保存することが可能です。
葬儀の日程を調整する際や、遠方の親族が到着するまでの間、遺体の状態を良好に保つために非常に有効です。
通常の冷蔵保存では一週間程度が限界ですが、エンバーミングを施すことでさらに長期間、遺体の見た目や状態を保つことができます。
また、冷蔵保存と異なり、遺体の皮膚が凍傷で損傷することも防げ、触れた際の冷たさも軽減されるため、遺族にとっても安心です。
腐敗に伴う感染症を防げる
エンバーミングは、遺体の腐敗を遅らせることで、腐敗に伴う感染症のリスクを大幅に減少させます。
遺体が腐敗すると細菌が繁殖し、周囲の人々に健康被害を及ぼす可能性がありますが、防腐処置を行うことでこれを防げます。
そのため、遺族や参列者は感染症の心配をせずに遺体に触れたり、近くにいることができます。
こうした安心感は、葬儀の場で故人との最後の時間を心穏やかに過ごすために大切なことです。
故人が元気だった頃の姿に戻せる
エンバーミングは、遺体の外観を整えることで、故人が生前の健康な姿を再現することができます。
事故や病気によって遺体が損傷していたり、表情が変わり果てていた場合でも、修復メイクを行うことで自然な表情を取り戻すことができます。
こうした処置によって遺族は故人の安らかな姿と対面することができ、最後のお別れを心穏やかに行うことができます。
故人の尊厳を守ると同時に、遺族にとっても大きな慰めとなります。
心置きなく故人とお別れできる
エンバーミングを施すことで、遺体の保存状態が良好に保たれ、遺族は心置きなく故人とお別れすることができます。
見た目が整った故人に触れることで、遺族は心を整え、故人との最期の時間をより穏やかに過ごすことができるでしょう。
これにより、遺族は死を受け入れやすくなり、心の整理を進める助けとなります。
エンバーミングは、故人との大切な時間を守り、遺族にとって癒しと慰めを提供する重要な役割を果たします。
エンバーミングのデメリット
エンバーミングには以下のような「デメリット」があります。
処置の手間がかかる
エンバーミングは高度な技術を要し、時間と手間がかかる処置です。
遺体の洗浄、消毒、防腐処置、整容など、多くの工程を専門の技術者が丁寧に行う必要があります。
それぞれの工程には細心の注意が求められ、遺体の状態によってはさらなる時間と労力が必要です。
特に、遺体が損傷している場合や特殊な処置が必要な場合には、通常よりも多くの手間がかかることがあります。
このため、エンバーミングは迅速に行うことが難しく、遺族や関係者にとって時間的な制約が生じる場合もあります。
費用がかかる
エンバーミングの処置には費用がかかります。
一般的には「15万円から25万円」程度が相場ですが、遺体の状態や追加の修復処置が必要な場合には、さらに費用が増加することがあります。
このため、葬儀全体の費用が高くなり、遺族にとって経済的な負担となる可能性があります。
経済的な余裕がない家庭にとっては、この追加費用が大きな負担となり、エンバーミングを選択するかどうかを慎重に検討する必要が生じます。
エンバーミングの費用に関する注意点
エンバーミングを依頼する際には、下記の点に注意しておいたほうがよいでしょう。
家族の間で十分に話し合いをする
エンバーミングを依頼する前に、家族全員で十分に話し合うことが不可欠です。
エンバーミングには遺体にメスを入れる処置が含まれるため、心理的な抵抗を感じる人もいます。
また、費用や手間もかかるため、経済的な負担についても考慮する必要があります。
家族全員が納得した上でエンバーミングを依頼することで、後々のトラブルを避けることができます。
信頼できる業者に依頼する
エンバーミングは高度な技術と専用の設備が必要な処置です。
信頼できる業者を選ぶことが重要であり、業者選びには慎重を期すべきです。
「IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)」などの認定を受けた業者を選ぶと安心です。
また、業者の評判や実績を事前に調べ、過去の利用者からの評価を確認しておくとよいでしょう。
見積もりやサービス内容をしっかりと確認し、信頼できる業者に依頼することによって、安心してエンバーミングを任せることができます。
複数から事前に見積もりを取る
エンバーミングの費用は業者によって異なるため、複数の業者から事前に見積もりを取ることが大切です。
見積もりを比較することで、適正な価格を把握し、予算に合った業者を選ぶことができます。
見積もりを取る際には、費用だけでなく、提供されるサービス内容や追加費用の有無についても確認しましょう。
これにより、後から予期せぬ費用が発生することを防ぎ、納得のいく形でエンバーミングを依頼することができます。
【エンバーミングの費用相場と注意点とは?】最適な選択をするためのポイントを解説 まとめ
エンバーミングは、遺体の腐敗を遅らせるだけでなく、生前の元気なころのイメージを蘇らせることができます。
エンバーミングを施すことで、遺族の気持ちを癒し、ゆっくりと最後のお別れができるようになるなどの大きな効果があることから、「15万円~25万円」という費用にも十分見合っているといえるでしょう。
エンバーミングを葬儀のオプションとして取り入れている葬儀社も増えてきており、今後もエンバーミングを利用する人は拡大していくと思われます。