葬儀を無事に終えた後、後日に改めて故人や葬儀などでお世話になった人たちに対する「あいさつ回り」は、必要なんでしょうか?
現代の葬儀の形を前提に考察してみたいと思います。
目次
対象者
挨拶に伺うべき対象として、次のような人たちをあげることができます。
僧侶、神官、神父または牧師などの宗教者
葬儀で世話になった人
故人の勤務先の上司や同僚
供花・供物・弔電などをいただいた人
故人が亡くなった病院
次に、それぞれに「挨拶は必要か」「タイミングはいつか」などを整理してみます。
僧侶、神官、神父または牧師などの宗教者に対するあいさつ
宗教者に対しては、葬儀を終えた直後に挨拶しお礼(お布施)を渡すのが一マナーです。当日にお礼を言うことが喪主の努め、義務であるともいえますので、後日お礼に伺うということは基本的にはありえません。何らかのトラブルがあり、当日挨拶できなかった場合という限定的な状況のみとなりますが、その場合は葬儀の翌日に挨拶に伺いましょう。
葬儀で世話になった人に対するあいさつ
世話役、葬儀委員長、近所(隣組)の人など手伝ってくれた人に対してです。
世話役や葬儀委員長が大規模な葬儀だった場合は、後日(1週間以内が理想です)お礼の品を持って挨拶に伺いましょう。ただし、現代の葬儀はコンパクト化する一方ですので、このようなケースはまず想定しなくて良いと思います。大規模な葬儀の場合は、葬儀社が「葬儀委員長の誰それには、いつまでに、何を持ってお礼に行ってください」のような葬儀後のケアもしてくれますので、あまり悩む必要はないでしょう。
葬儀を手伝ってくれた近隣の人に対する挨拶は、葬儀の翌日か翌々日に、喪主がお礼の品を持って挨拶に回るのが良いでしょう。特に、葬儀を手伝ってくれた人は、お斎(精進落し)などの会食の場で御礼を伝えることが難しい(まだ葬儀に関する仕事が残っているため)ケースも多いと思いますので、後日改めてお礼をすることは大切です。
故人の勤務先の上司や同僚へのあいさつ
「遺族が勤務先に出向いて、故人の机やロッカーなどを整理し、併せて挨拶もすませる」これはいつの時代のことなんでしょうか?現代ではセキュリティの問題もあり、故人の勤め先が遺族の訪問を受け入れることは、まずないと考えて良いでしょう。昔は社員が亡くなると、総務が葬儀の世話をするという時代もありましたが、既に会社と社員の冠婚葬祭は切り離されているところが多いです。故人の私物は会社が整理して、段ボールに詰められて宅配便で送られてきます。会葬してくれた勤務先の上司や同僚に対しては、葬儀の場で挨拶が済んでいますので、改めて行う必要はありません。
供花・供物・弔電をいただいた人に対するあいさつ
葬儀後できるだけ早めに礼状を出しましょう。直接出向く必要はありません。
例文は次のようなものが一般的です。
謹啓
亡○○○儀、告別式に際しましては、ご丁重なご芳志を賜りまして誠にありがとうございました。
早速拝趨の上親しくご挨拶申し上げるべきところ、略儀ながら書中をもって謹んで御礼申し上げます。
敬具
令和 年 月 日
喪 主○○○○
故人が亡くなった病院に対するあいさつ
実は最も重要な挨拶先なのかもしれません。病院の関係者を葬儀に呼ぶことは多分ありませんし、病院関係者が自ら参列されることもまずないでしょう。しかし故人が最後に最もお世話になったのは、死を迎えた病院です。葬儀を終えて、それほど期間をおかない(やはり1週間以内が理想です)時に、お礼の品とともに、主治医や看護師など医療スタッフを訪ねて、葬儀を無事に終えたことの報告も兼ねて、お礼に伺うようにしましょう。ただし気をつけることが1つ。病院関係者は常に多忙です。お礼をするとしても短い時間で済ませることを心がけたいですね。