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お盆 で食べる 料理 は?

記事公開日:2020.07.13/最終更新日:2023.05.01

読了予測:約3分

新暦の7月15日をお盆の中日とする地域は、2020年の場合は今日がいわゆる迎え盆ですね。日本で最も多くが8月15日をお盆の中日とする地域もひと月後に迫ってきました。遠方にいる家族も集まり賑やかになる楽しみな行事でもあるお盆。ご先祖様を墓から家にお迎えするお盆の期間中には、食事については何か決まりがあるのでしょうか。

精進料理の流れを汲んだ家庭料理が定番

お盆は完全な仏事というよりも、日本古来の祖霊信仰を融合した、伝統行事ということが言えます。そのために、守るべき仏教の宗教宗派などによるしきたりや決まりというものが強くはありません。どちらかというと、その地方・地方、さらには各家庭で代々受け継がれてきた料理がお盆の定番となっています。お盆の定番は精進料理という説明もよく目にします。確かに、冠婚葬祭やお盆などにおいて、仏教の宗教的な意味合いを出す場合には精進料理を供し食べることが多かったと思われますが、明治以降の日本ではすでに各家庭では仏教に対する強い信仰心は持ち合わせていなかったと考えられるので、精進料理がお盆の定番だったという時代はかなり遡る必要がありそうです。ただし、古くから各地域、家庭でお盆の時期に食べられていた料理には、精進料理的な要素が色濃く残っています。

地域によって家庭によって異なる

例えば筆者の出身である長野県では、野菜の天麩羅がお盆の定番料理となっています。江戸前の天麩羅とは異なり、かぼちゃ、なす、ししとう、さつまいもなどを揚げた精進揚げとも呼ばれる天麩羅は動物性の食材を使用しない精進料理の1つとも言えますね。また、長野県の北部では、青森県、山形県、新潟県、京都府、福岡県などでも食されているエゴノリ属の海藻を煮溶かして固めた「えご」と言われる料理を食べます。この料理は各地で呼び方が異なり、青森では「えごてん」、鳥取や大分では「いぎす」、京都では「うご」、福岡では「おきゅうと」などとも呼ばれ、お盆の時期だけではなく各地を代表する郷土料理になっています。

これは福岡の「おきゅうと」

このように都道府県により、特徴的な料理がお盆の定番になっていて、そのほかにも次のような例があります。

北海道:赤飯

宮城県仙台市:お葛かけという汁もの

山形県:あべかわ餅、ほうとう

埼玉県:おはぎ(ぼた餅)

沖縄県:酢の物

全国的に:そうめん

全国各地、各家庭でお盆の定番料理が存在しているのだと思います。これは、お盆に食べることがマナーやしきたりだから、という理由ではなく、この料理を食べないとお盆が来た気がしない、という長年にわたって身体に染み付いた料理であり味なんだろうと筆者は考えます。ですので、お盆の定番料理は各家庭によってまちまち、というわけです。

肉や魚も全く問題ない

仏式の葬儀を終えた後の会食(直会、精進落としなど)でも、肉や魚を使用した料理が普通に供される時代です。お盆の期間の料理、食事に関しても、現代は全くの自由です。肉や魚、卵を使った料理を普通に食べて問題ないですし、スーパーにいけば「お盆特売」と銘打って刺し身の大皿盛り合わせや、寿司、鰻、洋風の肉料理などがずらりと並んでいます。レシピサイトなどで公開している精進料理のレシピを見かけますが、「お盆だから精進料理に挑戦」ということは考えなくても良いのではないでしょうか。精進料理はイスラムのハラルのように厳格ではありませんが、殺生を禁ずるために出汁も昆布や椎茸など植物由来ではないといけない、などといった決まりがあります。精進料理本来の意味を理解し、忠実に再現するのならともかく、そうでないのなら拘らずに自由な素材で、自由な料理を楽しんだほうが、お迎えしたご先祖様たちも喜ぶのではないかと、勝手に考えています。