「命日」とは故人が亡くなった日のことです。命日には故人を想い、供養をします。よく耳にする言葉である「月命日」と少し耳慣れない「祥月命日(しょうつきめいにち)」についてご説明するとともに、命日の過ごし方を考えてみましょう。
祥月命日と月命日
祥月命日は、故人が亡くなった同月同日のことです。仏教では忌日(きにち)とも言います。例えば亡くなった日が3月31日なら、祥月命日は毎年の3月31日となるわけです。祥月の語源は儒教の言葉です。儒家は『死後13月目の祭を小祥、25月目の祭を大祥といい、以後毎年の忌日もこれに倣う』とすることに由来しています。現在も、一周忌(満1年)の法要を小祥忌、三回忌(満2年)の法要を大祥忌と言うことがあります。そこから、故人が亡くなった月を祥月、命日を祥月命日と言うようになったといわれています。
一方で月命日は、故人が亡くなった同日のみを指します。先の例で言うと、毎月31日が月命日となるため、祥月命日を除くので1年間に11回の月命日が訪れる、ということになります。
うるう年と祥月命日
ところで、2020年はうるう年のため4年に1回の2月29日があります。では2月29日に亡くなった人の祥月命日はいつになるのでしょう?調べてみましたが、明確になっていないみたいです。仏教の年忌という節目の年に営まれる法要は、祥月命日に営まなければならないものではなく、祥月命日に至るまでの日に行えば良いとされています。そのためでしょう、どこのサイトを見ても『2月29日が祥月命日の場合は2月28日までに法要を営めば問題ないですよ』と親切に記されていますが、では『祥月命日はいつなの?』に対する回答は見当たりません。まぁ仏事的には問題ないことなんでしょうが、なんかもやもやしますね。しかし2月29日が誕生日の人には誕生日が4年に1回しか訪れないことと同様に、2月29日に亡くなった人の祥月命日も2月29日で訪れるのも4年に1回になるのだと思います。この場合に後で書く祥月命日の過ごし方に関しては、うるう年以外の祥月命日を2月28日ないし3月1日と家族や遺族が見做せばよいのではないかと考えています。
祥月命日の過ごし方
仏教の年忌法要である、1年(一周忌)、2年(三回忌)、6年(七回忌)…を営む年であれば、故人の供養を法要で行えば良いのかもしれませんが、「うるう年と祥月命日」でも書いたように、法要は祥月命日より後でなければ良いとされているために、現在では法要に参列する人の都合や、読経をあげてもらうお寺さん(僧侶)の都合を優先して日程を決めるのが常なので、ほとんどの場合祥月命日よりも1週間から2週間前に営まれます。つまり法要が営まれる年であっても、祥月命日に行うべき当別な供養は別に決められているわけではありません。ましてや、年忌法要が営まれない年もあるわけですから、法要とは切り離して祥月命日の過ごし方を考えておくほうが分かりやすいです。では祥月命日には、何をすればいいのか。理想はお墓参りですが、平日であることが圧倒的に多く、墓所が遠いという家も増えています。お参りをするお墓の代わりだった仏壇すらない家も多い。ではどうすれば良いのでしょう?故人を偲ぶのは形ではなく想いだと筆者は考えています。遅い時間であっても集える家族がいれば、故人が好きだった食べ物など共に食べながら、思い出話をすることも十分供養になると思います。もしも家を離れて遠くに居るために訪れることができない家族は、祥月命日くらい実家に電話を一本かけて、故人の話をしてみませんか。