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これだけおさえればOK!お香典の一から十

記事公開日:2017.07.28/最終更新日:2023.03.29

読了予測:約5分

一 本来の意味

香典は古くは香奠と表記されました。香はお香(又は線香)のことであり、香に代えて供えるものという意味があります。奠は霊前に供えるもののことで、古くは故人に対するお供えだけでなく、遺族を助けるものという意味合いもあり、金銭ではなくお葬式の際の食事に用いるための食料品などでした。金銭となったのは武士階層で室町時代以降、庶民は明治以降といわれています。とくに農村部では戦後まで食料によるお香奠の慣習が残っていたようです。

ニ お香典の相場

お香典に包む金額の目安は、ご自分の年齢と故人との関係により決まってきます。

【お香典の目安】

亡くなった方 ご自分の年齢
20代 30代 40代以上
両親 30,000~50,000 50,000~100,000 100,000~
兄弟・姉妹 30,000~50,000 50,000 50,000~
祖父母 10,000 10,000~30,000 30,000~50,000
伯(叔)父、伯(叔)母 10,000 10,000~20,000 20,000~30,000
その他の親族 3,000~5,000 5,000~10,000 5,000~20,000
勤務先の社員(上司・同僚) 5,000~10,000 5,000~10,000 10,000~
勤務先社員の家族 3,000~5,000 3,000~5,000 5,000~10,000
仕事関係 3,000~5,000 5,000~10,000 5,000~10,000
友人 5,000~10,000 10,000~30,000 10,000~30,000
友人家族 3,000~5,000 5,000~10,000 5,000~10,000
恩師 3,000~5,000 5,000~10,000 10,000~
その他の知人 3,000~5,000 5,000~10,000 5,000~10,000
隣近所 3,000 30,000~5,000 5,000~10,000

お香典にはきりのいい金額を包むのが一般的ですが、そうでなければならないという決まりはありません。ただ、苦労を想起させる(九)、死を想起させる(四)の数字は避けましょう。

三 お通夜、お葬式とお香典

お通夜とお葬式でお香典の金額に違いはありません。また、どちらか一方で供えれば良いのです。お通夜でお香典を渡している人がお葬式にも会葬するときは、お香典を受け付ける係の人にそのことを伝えて記帳だけすれば良いです。

四 宗教とお香典

お香典と称するのは仏式だけです。ほかの宗教の場合には、それぞれ元の意味合いはお香典とは異なりますが、故人に供えるものとして神式の場合では「玉串料(たまぐしりょう)」「榊料(さかきりょう)、キリスト教式は「御花料」と称します。

五 お香典袋の種類と書き方

宗教によって、それぞれ違いがあります。

【仏式】

黒白ないしは双銀の水引をあしらったのし袋(弔事の場合は不祝儀袋という)を使用します。表書きは「御霊前」が最も一般的で、それ以外には「御香料」「御香典」などと書きます。市販の不祝儀袋には表書きが印刷されています。ちなみに「御霊前」はすべての宗教に共通して使える表書きです。ただし、蓮の絵が印刷されている不祝儀袋は仏教専用なので注意しましょう。

※宗派や地域によっては「御佛前」を使用する場合があります。

【神式】

水引は、黒白あるいは双銀ののし袋に、表書きとして「御玉串(料)」「御榊料」あるいは仏式同様の「御霊前」と書きます。仏式同様に市販の不祝儀袋があります。

【キリスト教式】

白無地の封筒か、白百合や十字架が印刷された市販の封筒に、「御花料」と書くのが最も一般的です。ただし、すべての宗教共通の「御霊前」でも問題はありません。水引もないのが普通ですが、市販の不祝儀袋を使う場合には、黒白、双銀の水引であれば失礼にはあたりません。

六 表書きの名前の書き方

すべての宗教に共通です。不祝儀袋の水引の下中央に、薄墨で会葬者の名前をフルネームで書きます。夫婦で会葬する場合には夫の姓名の脇に妻の名前を、23人が一緒に包む場合には連名で、それ以上の複数の場合には代表者の名前と「他○人」のように書きます。また組織、部署、グループとして包む場合にはその名称を書きます。

七 中袋の書き方

全ての宗教に共通です。お金を直接のし袋に入れるのではなく、白無地の封筒(中袋)ないし、白無地の紙(中包み)で現金を包んだものを不祝儀袋に入れます。中袋には包んだ金額と、名前と住所を書きます。包んだ金額を書くのは表、裏どちらでも良いようです。市販の不祝儀袋には金額を書く欄、名前住所を書く欄が印刷されていますのでそれに合わせれば良いでしょう。いずれも表書き同様に薄墨で書きます。なお金額には「金壱万円也」のように旧字を使用します。

八 法要とお香典

お葬式の後の法要でもお香典を供えます。四十九日の法要が過ぎたら、表書きは「御霊前」ではなく「御佛前」とします。これは四十九日の法要をもって、故人の霊が成仏したと考えられているからです。神式、キリスト教式でも仏式の法要に相当するものがあります。こちらの表書きは、お葬式のとき同様の「御玉串(料)」「御榊料」「御花料」です。

九 お香典は誰のもの

お香典は、喪主に対する贈与の性質がある金銭ですが、遺産には属さないという判例があります。お香典からかかった葬儀費用を差し引いて残った金額は喪主の財産とみなされています。そうなると所得税が心配ですが、所得税基本通達で社会通念から逸脱していない範囲であれば、「葬祭料、香典又は災害等の見舞金」を非課税としています。

十 その他のマナー

お香典に新札を入れるのは、準備していたように見えるので避けるという慣習がありました。やむを得ず新札を使用する場合には、敢えて折り目をつけるのがマナーともいわれていました。しかしATMから新札が出てくることが多い現代ですので、あまり神経質に考えなくても良いという考え方が一般的になってきています。

お通夜やお葬式にどうしても会葬することができないときには、弔電を打ったうえで、不祝儀袋にお香典を包んで現金書留で送るようにしましょう。