縁ある人の訃報に接したら初めの弔意をどう表したらいいのか。
これまでの常識なら、葬儀(通夜)に赴き直接伝える。
葬儀に参列できないときは、弔電を送るあるいは香典を送る、などでした。
しかし現代社会にはもはや欠くことができないコミュニケーションツールである電子メールやSNSが存在しています。
メールやSNSを使ってお悔やみを伝えることはマナー違反になるのでしょうか。
※SNSの場合は、SNS上だけの知り合いではなく、現実社会でも知り合いであることに限定しています。
メールやSNSが正しいといえるシチュエーション
まず結論から申し上げると、現代では決してマナー違反ではないと考えて良いでしょう。
ただし、訃報に接したシチュエーションによると筆者は考えています。
そのシチュエーションとは次を満たしている場合です。
- ① 訃報をメールやSNSを介して受けとった(知った)
- ② 訃報の発信者が、友人などの親しい間柄、または仕事上の関係者(上司、同僚、後輩または取引先の担当者)に限る
まずメールやSNSによって知ったことに対して、電話をかけたり、いきなり直接出向いたりするというほうが躊躇われます。
また、あまり時間をおかずに弔意を示すということが最も肝要だとも思います。
1つ念の為ですが、メールに対してSNSで返したり、逆にSNSで接した訃報にメールで返したりするのはやめたほうが無難でしょう。
あくまでも同じツールの中でのコミュニケーションということが前提です。
マナーには反していませんが、あくまでも早さを優先させた略式であって、メールを送った後になんらかの正式な形でお悔やみの言葉を伝えることがベストです。
メールの文面で気をつけたいこと
いくら親しい間柄とのメールであっても、いつも交わしているような、くだけた表現は慎みましょう。
まず口語体を使わないことが大前提です。
そのうえで次の点に注意しましょう。
①サブジェクト(メールタイトル)は簡潔に、お悔やみであることが分かるものにする
一言『お悔やみ申し上げます』がベストです。
②通常の前文にあたる挨拶はいらない
時候の挨拶や、仕事で使用する『お疲れさまです』『お世話になっております』など一切不要です。
③忌み言葉は避ける
これは、葬儀の場で直接伝えるお悔やみの言葉や、弔電と一緒です。
次の言葉は使用しないようにしましょう。
重ね言葉(不幸が重なることを連想する)
「重ね重ね」「たびたび」「またまた」「再三再四」「次々」「再び」「続く」など
生死に関する直接的な表現
「死亡」「死ぬ」「急死」「病死」「生きている」など
④故人を言い表すときは敬称を使う
「父」→「お父様」「お父上様」、メールを送る相手が目上「ご尊父(そんぷ)様」
「母」→「お母様」「お母上様」、メールを送る相手が目上「ご母堂(ぼどう)様」
「夫」→「ご主人様」
「妻」→「ご令室様」
「子」→「ご子息(息女)様」「ご令息(令嬢)様」
⑤絵文字、顔文字、スタンプ、機種依存文字(記号)は使用しない
メールによるお悔やみの文例
メール用の特別な文例があるわけではありません。
実は、弔電の文例をそっくり当てはめることができます。
弔電の文例は、NTTグループをはじめ弔電を受け付けている企業のサイトなどでも見る事が可能です。
基本は次の要素を、故人や訃報を伝えてくれた相手の関係性によって選択し組み合わせて作成することになります。
①前文
『(○○様の)ご逝去を悼み』
『(○○様の)ご逝去の報に接し』
②主文1
『謹んで(心から)お悔やみ申し上げます』
『謹んで(心から)ご冥福をお祈り申し上げます』
『謹んで(心から)哀悼の意を表します(捧げます)』
『お悔やみ申し上げますとともにご冥福をお祈り申し上げます。』のように組み合わせても良い。
③葬儀に参列できない場合に添える言葉
『都合により、葬儀に伺うことが出来ず申し訳ありません』
④相手に対する気遣い
『何かお手伝いできることがありましたら、いつでもご連絡ください』
⑤主文2 関係性によって組み込む言葉の一例
相手との関係性によって、もう少し想いを伝えたい、そんな時は次のような言葉から選んで文章に組み込みましょう。
『お気を強くお持ちになってください』
『お慰めするすべもございません』
『お力をお落としになりませんよう』
『お悲しみはいかばかりかとお察し申しあげます』
重要なのは、簡潔な文章とすることです!
はじめにも書いたように、メールやSNSでのお悔やみの言葉は、メールやSNSを介して訃報を知ったことに対する、いわば返信です。
ですからメール等の後に、弔電を送る、香典を送る、葬儀に参列する、関係性がそこまで深くない場合は葬儀後に会ったときに直接伝える、という従来どおりの方法で弔意を伝えることが理想なのは言うまでもありません。