互助会のことはあまり知らずに、なんとなくイメージで「互助会はやばい」と思っている人は少なくないようです。
そもそも一般の方は日頃から葬儀のことなどは考えないので、あまり知識がないのが実際のところでしょう。
互助会がやばいと思われる理由としては、「積立金だけでは足りないから」「途中解約が難しいから」「破綻した場合に全額返金ではないから」といったことがあるようですが、実際の状況を知れば大きな問題ではないことが理解できます。
また、「互助会は高額なプランを押し売りする」「互助会の葬儀や結婚式の質がよくない」「互助会の営業がしつこい」といった間違った認識を持っている方もいるようです。
こうした間違った情報を信じて「互助会はやばい」と勘違いしないように、正しい情報を持っていただきたいと思います。
この記事では、なぜ「互助会はやばい」といわれるのかを解説し、「互助会はやばい」という間違った認識に対して、正しい情報をお届けします。
互助会の仕組みやサービスを理解することから始めていただければ幸いです。
目次
互助会は実際にやばいのか?
互助会は70年以上前から続き、経済産業省の管理のもとに運営されている歴史のある組織です。
決してやばい団体ではありません。
日本全国には約250の互助会が、それぞれ別の組織として運営されています。
会員数を総合計すると約2240万人となり、預り金の総額は2兆5000億円という巨額の金額となります。
日本国内の「葬儀の約2割」が互助会による葬儀となっています。
こうした数字を見ていくだけでも、互助会がやばいというのが間違いであることがわかるかと思います。
互助会がやばいといわれる理由
では、なぜ互助会がやばいといわれるのでしょうか。
その理由として「3つ」を取り上げて紹介します。
積立金だけでは足りないから
互助会の仕組みは月々数千円の低額の積み立てを5年~10年の長期間続け、結婚式や葬儀にかかる費用をまかなうというものです。
互助会では会員向けに「割引プランを用意」しており、積み立てたお金で「式典を行う」ことができます。
ここで勘違いするケースが、積立金で行うプランには葬儀や結婚式にかかることがすべて含まれているわけではないということです。
一般的な互助会の葬儀のプランでは、下記の内容が含まれています。
- 祭壇
- 棺
- 遺影
- 霊柩車
- 葬儀を行う式場の設営費用
- 式の進行費用
葬儀に必要でプランに含まれていないものには、下記のようなものがあります。
- 式場会場費
- 飲食接待費
- 火葬費
- 返礼品費
- 宗教者関係費
プランに含まれていない費用については、オプションとして用意されていたり、関連会社から提供してもらうこともできますが、「別途費用が必要」です。
会員向けに割引サービスとなっていることが多いですが、こうした費用がかかることを考えておらず、トラブルになることがあります。
プランの内訳は加入する際にしっかりと確認しておく必要があります。
途中解約が難しいから
互助会では会員を盛んに集めていますが、途中で解約させてもらえないのではないか、という疑問の声が一部であがっています。
解約するのにたらいまわしにされたり、法外な金額の手数料を差し引かれたりするといった噂もあるようです。
実際のところで言うと、250程ある互助会のうち208社は「一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会」という業界団体に所属し、経済産業省の管轄の下、統一の運営ルールを設けて運営されています。
かつては、互助会が乱立し、ずさんな運営がされていた時期がありました。
途中解約の依頼をしてもなかなか手続きをしてもらえなかったり、積立金の25%を超えるような手数料が差し引かれて返金になったりということがあり、裁判にもなっています。
しかし、現在では解約に関して、「遅くとも45日以内には手続きを完了」し、手数料も「10%~15%程度」となっています。
また、万が一、解約に関してトラブルになった場合にも、相談窓口が用意されています。
破綻した場合に全額返金ではないから
互助会は集めた会費を運用し設備を整え施設の建設等をしています。
以前は、ずさんな運営によって経営破綻した互助会が続出したことがあり、積立金が返金されず会員に大きな損害を与えることになりました。
互助会が経済産業省の管轄となり、ルールが整備されたことによって積立金の半額は保全される仕組みとなり、万が一経営破綻したとしても保全された分は返金が保証されるようになりました。
しかしこうした仕組みはありますが「半額のみの保証」ですので、互助会に加入する際には経営状態を確認しておいたほうがいいでしょう。
互助会がやばいという間違った認識とは
互助会がやばいという話の背景には、間違った認識が広まっていることがあります。
互助会に対する間違った認識について解説します。
互助会は高額なプランを押し売りする
互助会に加入すると高額なプランを押し売りされると思われている方がいますが、基本的にそういったことはありません。
互助会では、結婚式や葬儀の基本プランをそれぞれ「2~3種類」用意しており、その中から選んで積み立てをしていきます。
月々の積立金の支払いは「数千円程度」で、それを5年~10年という長期間続けていくのが特徴です。
基本プランに含まれるサービスは、基本的な装具や運営のサービスなどに限られており、冠婚葬祭にかかる費用の一部になります。
プランに含まれていない式場利用料、飲食代、返礼品代、宗教者への謝礼、火葬代は追加で契約が必要になり、支払いが発生します。
その金額は、参列者の人数で変動しますが、100万円~150万円程度です。
この金額が高いか安いかというと、一般的な葬儀にかかる費用と比べてそれほど変わらないか、やや安いといえます。
もちろん、近年では家族葬プランなどで非常に低価格を打ち出している葬儀会社はありますが、一般的な形式の葬儀であれば高くはないでしょう。
互助会の葬儀や結婚式の質がよくない
葬儀や結婚式の質の良し悪しは、式場の設備や提供される食事はもちろんですが、多くはスタッフの質によるところが大きいでしょう。
互助会の組織は全国に250ほどあるため、組織の規模は様々です。
大手の互助会であるベルコでは全国各地に拠点を構え、加入口数は263万口に上ります。
ベルコで葬儀を行う人は年間で4万人を超えています。
30ヵ所以上ある結婚式場、200ヵ所以上ある葬儀などを行う多目的ホールの他、ホテルやコスチュームサロンなどの関連施設を有し、会員の結婚式や葬儀をサポートしています。
このような大きな組織を持つ互助会では、便利な場所に施設を構え、食事は互助会関連の企業から提供されています。
互助会会員であれば割引価格で利用できます。
またスタッフの教育や研修にも非常に力を入れています。
もちろんベルコのように大きな組織でない互助会では、不十分なところもあるでしょうが、互助会だから質が悪いということはあてはまりません。>
互助会の営業がしつこい
一部の互助会の営業のやり方がしつこいという話はありますが、全ての互助会に当てはまるものではありません。
クレームになる営業をしているのは、歩合給の外交員を雇って高いノルマを課している互助会です。
ノルマ達成のために、契約が取れそうなところには何度も連絡してくる営業担当者はいるようです。
しかし、これは営業担当者や営業所によるもので、全ての互助会の営業がしつこいということではありません。
また、2009年12月に特定商取引法が改正され、不要であることを営業担当者に連絡したにもかかわらずしつこい営業をしていると業務停止命令の対象となります。
近年ではしつこい営業はできなくなってきています。
互助会加入のメリット
ここでは互助会に加入することの「メリット」について紹介します。
葬儀を比較的低価格で行うことができる
互助会の会員になり、毎月数千円の会費を納めることで互助会のサービスを受ける権利を得られます。
互助会が提供する葬儀プランは、会員以外の人が利用する場合よりも安く利用できるように設計されています。
互助会に加入することで、経済的な負担を軽減してしっかりとした葬儀を行うことができます。
葬儀以外の優待を受けることができる
互助会の会員になることで、葬儀プランだけでなく会場の利用料や会食の料金が割引になります。
また、葬儀以外でも、互助会の関連会社や提携企業の商品購入やサービスの利用が会員価格として優待されます。
レジャーや外食の料金などがお得な料金に割引されます。
積み立ての途中でも利用が可能
互助会の積み立ては5年~10年という長期間にわたって続けますが、全額を納付する前に死亡した場合でもそれまでに積み立てた金額との差額を払えば、全額納付の場合と同様のサービスを受けることが可能です。
掛金が掛け捨てではない
互助会の毎月の会費は積立金となるものですので、掛け捨てではありません。
積み立て途中で解約する場合には、手数料を差し引いた残額の返金が受けられます。
互助会加入のデメリット
互助会に加入することの「デメリット」もあるので解説します。
プランが限られている
互助会加入の際には利用するプランを選び、利用に必要な金額を毎月積み立てていきます。
ただし、互助会で扱っているプランが限られているため、自分が希望するような葬儀や結婚式が行えない可能性があります。
積立金が固定化される
月々数千円の積み立てですが、5年~10年間続けることでトータルの金額は「30万~50万円」になります。
このお金は、葬儀など申し込みをしたプラン以外の他の目的に使うことができなくなり固定化されてしまいます。
解約手数料がかかる
互助会の会員になって積み立てを続けていても何かの理由で途中解約したいという場合はあるでしょう。
互助会を途中解約することは可能で、積立金も返金されますが解約には手数料がかかります。
積み立てたお金が全額戻ってくるわけではなく、積立金の10%~15%が手数料として差し引かれて返金されるため注意が必要です。
互助会加入の注意事項
互助会に加入する際に注意すべき点について確認しておきましょう。
近くにある互助会を選ぶ
互助会に加入すると5年~10年間は積み立てをするだけで、事務所がどこにあるのかはあまり関係ないでしょう。
その後、実際にプランを使って冠婚葬祭を行うことになると、担当者と何度か打ち合わせをする必要があります。
打ち合わせを互助会の事務所に行って行うのか、自宅に来てもらって行うのか、どちらにしても距離が離れていると負担がかかります。
高齢であれば余計に大変です。
できれば自宅から遠くない場所に事務所がある互助会を選ぶといいでしょう。
口コミや評判をチェックする
互助会の積立期間は5年~10年という非常に長期間にわたります。
完納した後も、実際に冠婚葬祭のプランを利用するまでは、数年から数十年後になるケースも珍しくありません。
そうした長い間、積立金を預けたままとなるため、互助会が健全に運営されているか確認しておく必要があります。
金融機関などであれば公的なチェックが入り厳しく調べられますが、互助会ではそこまでの仕組みはありません。
口コミや評判などを含めて情報を集めておく必要があります。
契約内容やプランをしっかりと確認する
互助会がやばいという間違った認識が広まった背景には、契約内容やプランを十分に理解しておらず、間違った認識をもってしまったことがあります。
契約前の説明をしっかり確認し、不明点があれば躊躇せず、クリアになるまで質問するようにしましょう。
【互助会がやばいと思われる理由とは?】互助会の疑問点と実態を解説 まとめ
互助会がやばいというのは、互助会に対する間違った認識や、利用者の理解不足が影響していると思われます。
冠婚葬祭の負担を軽減し、互助会のメリットを活かすためには、互助会についてしっかりと理解し、加入する場合には十分検討してから加入するようにしましょう。