仏教では、人は亡くなった後7日ごとに故人の生前の罪に対する閻魔大王の審判を受けるのだと教えています。
そして7回目の審判を無事に終えることができたときに極楽浄土で次の生を得るとされています。この7回目の審判までの49日間のことを中陰(ちゅういん)といい、中陰法要は故人の罪を赦してもらうために読経をあげるというのが本来の意味で四十九日(しじゅうくにち)法要といわれています。
故人が極楽浄土に行ったことで「忌」が明けた「忌明け(いみあけ)」とされ、多くの場合はこの法要の後にお墓に納骨をします。なお、この中陰法要は本来仏教の法要ですが、日本社会に深く根付いていることから、他の宗教でも四十九日法要を行うことが慣習となっています。ここでは四十九日を無事にとりおこなうため必要な準備を整理してみましょう。
1:施主が実務のすべてを行う
法事をとり行うのは施主です。お葬式には、喪主と施主(一般的なお葬式では同一)が存在しましたが、法事には喪主は存在しません。お葬式と違って一般的には葬儀社が関わることが少ないために、施主を中心とした家族だけで四十九日の実務のすべてをとりしきることになります。
2:日取りを決めましょう
亡くなった日から丁度49日目である必要はありませんが、49日目を超えてしまうことは避けてください。その理由は法要の本来の意味を考えれば、自ずと理解できることかと思います。
日取りの決定は、お祈りをあげてくれる宗教者(僧侶、神父・牧師)の予定をおさえることと会場の確保から始まります。会場を自宅以外で行う場合には、お寺などの宗教施設や貸会場で行う必要があります。
- お寺、教会などの宗教者へ連絡し、空いている日を確認する
- 自宅以外を会場とする場合、借りることができる会場を探し、宗教者の都合の良い日で空いている日の予約をする
- 会場が自宅の場合は自由に日取りを設定できる
宗教者の予定と会場をおさえるのは、どちらが先でなければいけない、というものではありませんが、人が優先かなと考えています。どうしても貸会場をおさえることができなければ、自宅で行うという奥の手があるからです。
3:日取りを連絡しましょう
日程が固まったら親族や故人と縁の深い人に、四十九日の案内をします。それほど日程に余裕があるわけではないので、まずは電話で一報するのが良いでしょう。その後に文書で案内する場合には、開催日時と会場、お斎の有無、服装の留意点(略式か平服で良いかなど)などを記載してください。もし文書だけでの案内ならば、参列の可否を回答するための返信用はがきを同封します。
- 参列してもらう人に電話で一報する
- 文書で詳細を連絡する
- 文書だけの場合は、出欠を問う返信はがきを同封する
4:お斎の準備
法要の後の会食の準備をします。飲食も供してくれる貸会場の場合は、予算と人数を伝えて任せれば良いでしょう。また、ホテルや飲食店の個室を借りて行うケースも多く見られます。
- お斎によぶ人数を決める
- 予算を決める
- お斎を行う場所を決める
【飲食店をかりてお斎を行う場合】
- 貸会場で法要に続けて行う場合は、予算と人数を伝える
- ホテル、飲食店などで行う場合は、予算と人数を伝えて予約をする
- 自宅で行う場合は、料理の一部またはすべてを家族で用意するのか、あるいは配食サービスを利用するのか決めて手配する
5:引き物の準備
参列者に渡す引き物を準備します。お香典返しは、半返しという慣習がありますが、当日に渡す引き物にはそのような相場は特にありません。一般的には、お斎も含めた法要にかける全体の予算を決めてそこからお斎の費用を除いた額を引き物の予算にかけるという考え方が多いようです。一人あたりの接待費の大体の相場感は、1万円から2万円というところではないでしょうか。それから考えると引き物は3千円から6千円というところでしょう。
次に引き物の品に何を選ぶかについてですが、これも決まりがあるわけではありません。食料品の詰め合わせや、タオルなどの実用品が多いようですが、2点だけは気をつけましょう。
①日持ちのしないものは避ける ②大きな荷物になるものは避ける。
引き物には、「志」または「粗供養」と書いた(印刷された)外のし紙をかけます。
- 引き物の予算を決める
- 注文する(のしを忘れずに)
最後に・・・
四十九日は、参列してくれた人とともに故人を偲ぶ場です。施主をはじめ家族は、お葬式の時には大勢の会葬者の対応に追われて、故人と縁の深い会葬者とゆっくりと話ができないことも多いですが、四十九日は比較的少人数の席ですから、お斎の場で故人の思い出を語り合うこともできます。しっかりと準備をすすめて、良い法要にしてください。