人生の最期を迎えるための準備でもあり、自分の人生後半をポジティブに生きるための活動である終活は、何歳から始めれば良いのでしょう?思い立ったらそのときから始めなさい、というお話がとても多いですね。インターネット上には、「20代、30代からの終活のすすめ」なんて記事も見受けられます。若い頃からはじめるメリットはあるのでしょうか、そもそも、そんなに若い頃に始められるものなのでしょうか。
若いときから終活?
終活は、明確な定義があるわけでも、ルールや基準があるわけでもありません。ですので、10人10色の終活があっても良いのです。だたし、その目的、誰のためにするものなのか、何をすれば良いのか、を考えてみると、ぼんやりとではありますが適切なタイミングが見えてきそうです。
目的も、一つだけというわけではありませんが、最も多いのは遺された家族の負担を少しでも軽くしたい、ということがあげられますね。この目的を考えたときに、まだ家族を持っていない20代、30代だとしたら、あまり意味がない、というよりも普通は考えることが難しいですよね。また、お子さんがまだ幼いときに、自分の死後はどうするか、考えますか?明日は何がおこるか分からない現代ですから、転ばぬ先の杖として何事も準備しておいて無駄なことはないでしょう。でも、この年齢だったら、伴侶のため、子どものため、何があっても絶対に死なないと心に誓い、自分の死後のことは極力考えないようにするというのも一つの考え方です。
若いころからできる終活の内容は?
終活の活動内容として終活スタイルでも紹介しているのは、次のものです。
- お墓を決める
- 遺品整理をする
- 相続や形見分けを決めておく
- 医療や介護について決めておく
- エンディングノートを書く
市販のエンディングノートには、1から4の内容すべてが含まれているものが多いので、エンディングノートのすべてを書くことができれば、ほぼ網羅できてしまうことになります。でもこの中に若いころからできることはあるのでしょうか。
まず、1のお墓。墓所や墓石の購入は結構なお金がかかります。つまり、経済的に余裕のない若いころは、実際問題として難しいかもしれません。
2の遺品、まだ現役バリバリのころは身の回りの品の流動化が激しいでしょうから、遺す品というのはわずかしかないかもしれません。
3の相続や形見分けも2同様に難しいでしょう。相続させる財産はまだ無い人が多いのでは。
4の医療や介護、これは現実的に有り得そうですね。介護はまだ先の話かもしれませんが、例えば、事故等で脳死状態になったときに何を望むか、またドナー登録しているかどうか、などは若いころから何らかの形で家族に伝える方法を考えておいたほうが良いことだと思います。
こう考えると、若いころからの終活なんて無理……、という話になりますね。でも、できることは一つもないのでしょうか。
これまでの自分の人生を振り返る
終活の目的の一つに、これまでの自分の人生を振り返り、これからの人生(余生)の行き方を考える、というものがあります。これらからの人生を、余生と考えるのではなく、例えこれから先50年60年続く人生であっても(それも一つの余生ではありますが)どう生きるか考えることには大きな意味がありますね。
過去の自分や家族との関係を振り返り、反省すべきことや、改善すべきことがあれば、それをこれからの人生に活かしていくことを考える、これも一つの終活といっても良いかもしれません。エンディングノートを書くんだとか、終活をするんだ、と構えずにこれからの人生をポジティブに生きるための考察くらいに考えれば良いと思います。ですので、自分が死んだら、という前提は外して考えたほうが自由な発想が広がりそうですね。もしかするとその発想の中から、自分が死んだ後のことに対する考えも出てくるかもしれません。
終活の適切なタイミングは
多くの説は、退職、リタイヤしたときがベストタイミングというものです。
退職後は時間的な余裕もうまれるでしょうし、培われた豊富な社会経験のおかげで、より適切な判断をすることもできるから、というのがその理由のようです。経験に関しては確かにそのとおりですね。しかし、これからの時代は、リタイヤした高齢者のセカンドキャリアが社会にとって重要になってきます。再就職も含めて、高齢者のパワーが社会にとって必要な時代なのです。つまり、リタイヤした後も時間的な余裕がないかもしれません。
では、どうすれば良いのか。答えは、先に申し上げた自分の人生の振り返りにあると思います。人生を振り返るタイミングに適しているのは、ターニングポイントだと思いませんか?ですので時間的な余裕が生まれるから、という理由からではなく、リタイヤはグッドタイミングの一つだといえます。それ以外にも、例えば、子どもが成人したとき、あるいは子どもが結婚したとき、孫が産まれたとき、もしかしたら転職したときなどが良いかもしれません。
ポイントは人それぞれですが、その人にとって人生を振り返るタイミングで活動を始める、というのが最も適していると思います。
最期に、繰り返しにもなりますが、終活に決まりは一つもありません。終活という言葉すら使う必要がない。これからの自分の人生、家族や周囲の人との関わり、それらをより良くしていくための活動というか考察だと位置づけて自由な発想をすることで、より素晴らしい人生を送ることができるのではないでしょうか。