今や日常生活の中にしっかりと定着しているSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)。最近では若者だけでなく、高齢者の利用も増えています。そんなSNSですが、自分が死んだあと、Facebookのマイページや、Twitterで公開した写真やコメントはどうなるのでしょうか。ここでは、デジタル遺産といわれるものの中でも、最もユーザーが多く、そして以外に盲点である(生前はまず考えない)SNSアカウントが自分の死後どうなるのかみていきましょう。
自分の死後のSNSアカウントは放置状態に
自分が死んだ後に、Webの世界に置かれていたものは、何もしなければ放置された状態になります。放置されたホームページ、ブログ、SNSは、誰もアクセスをせずに忘れさられていく可能性もありますが、場合によっては何らかの悪意をもった人によって荒らされたり、なりすましによって(死んだはずの)自分の発信のように投稿されてしまう危険性もあります。
たとえ死んだ後でも、いわれのない中傷を受けるのは避けたいですし、遺族が傷つく可能性もあります。しかし、すべてのサービスは、アカウントの管理権限をもっている人がなんらかのアクションを起こさない限りは、何の変更もされません。自分のアカウントの管理者は自分自身ですから、その自分がいなくなったら、どう管理をすれば良いのでしょうか。そんなときのために、現在では、死後のアカウントを管理するためのサービスを導入し始めているSNSが増えています。ユーザー数が多いFacebookとTwitter、そしてGoogleの各サービスをご説明します。
Facebookは追悼アカウントにできる
Facebookは日本国内でも、追悼アカウントサービスを導入しています。このサービスは、利用者が亡くなった場合に、追悼アカウントに移行できるという機能です。利用者の死後、追悼アカウントのリクエストへ申請をすると、Facebookが申請内容を確認し追悼アカウントへ移行されます。家族や友人とつながりを深める場であるFacebookをそのまま、故人が亡くなった後も、周囲の人が故人を悼む場、故人を偲んでつながる場として残すことができることになります。
追悼アカウントとなったページには、アカウント所有者の名前の横に「追悼」と表示がされ、故人の関係者はタイムライン上で追悼タイムラインによって想い出をシェアしあうことができます。また過去の投稿や写真も保管されますので、いつまでも見ることができます。そして追悼アカウントには、本人としては誰もログインすることができませんから、なりすまし、荒らしの対象となる心配はなくなります。
そして2015年からは新機能として、追悼アカウント管理人を指定できるようになりました。これは、生前に利用者が追悼アカウントになった際の管理人を決めておける機能です。
追悼アカウント管理人は、次のような操作ができるようになります。
- タイムライン上で一番上に表示される投稿(例えば葬儀のお知らせなどの特別なメッセージ)をすることができる。
- まだFacebook上で故人とつながっていなかった人からの、友達リクエストへの対応。
- プロフィール写真、カバー写真の変更。
追悼アカウント管理人は、故人本人としてログインできるわけではないので、プライベイトなメッセージなどを閲覧されてしまう心配はありません。なお、追悼アカウントへの移行を希望しない場合には、アカウント、マイページを永久に削除してしまうことも選択できるようになっています。
追悼アカウント管理人の設定方法は、Facebookの設定ページから、セキュリティを選択し、一番下の「追悼アカウント管理人」を選択します。「追悼アカウントを有効にする」から「管理人」を選択すると、管理人に指名する人へメッセージを送れるオプションが表示されます。
Twitterは家族などが削除を依頼
利用者が亡くなった場合に、家族や遺産管理人などの権限を有している方の正当な申し出があった場合に、アカウントを削除するサービスです。Twitterのヘルプセンターの、プライバシーポリシーに関するお問い合わせには、亡くなられたユーザーのアカウント削除のリクエストに対応するフォームがあります。こちらに詳細を入力して、リクエストを送信した方の身分証明書のコピー、故人の死亡証明書のコピーといった必要文書を送信することで、アカウントは削除されます。
Googleはアカウント無効化
Googleは、一定期間ログインしていない状態が続いた場合に、アカウント無効化管理ツールによって、公開を一部に限定したり、他のユーザーに通知をしたり、あるいはアカウントを削除することができる機能です。アカウントの個人情報とプライバシー設定のページで、希望に沿ってアカウント無効化になるまでの期間などを細かく設定することができます。
事前の準備は必要
自分の死後にアカウントが保護される、あるいは削除される方法はあります。しかしいずれの場合でも、亡くなる前に準備しておく必要があるのです。Facebookの場合は、自らが追悼アカウントに移行するのか、追悼管理人を指定するのか、または削除するのか指定しておかなければなりません。Googleも同様に、設定が必要です。Twitterも、アカウントの情報を家族や相続人などに伝えておく必要があります。これからの時代、遺言書やエンディングノートをとおして、遺された周囲の人に伝えるべき重要な情報の一つということが言えますね。