家族や身近な人が危篤となり、病院などに駆けつけたとします。危篤とは辞書にあるとおり「今にも死にそうな状態のこと」で、医師が回復の見込みがなく死に近づいていると判断した場合に告げられます。稀に危篤状態から奇跡的な回復をされるケースも存在しますが、多くの場合は家族などの愛する人に見守られる中で息を引き取ります。そして息を引き取った瞬間に臨終を告げられるのです。故人が臨終を迎えた後には、たとえ悲しみに浸る中でも葬儀の準備を始めなければいけませんが、葬儀の準備を始める前にまずすべきことがあるのです。
臨終を迎えた後から遺体安置の直後まで
臨終を迎えると医師が「呼吸停止」「心肺停止」「瞳孔散大・対光反射消失」を確認した上で死亡の判定を行います。そして死亡時刻は一般的に、呼吸停止あるいは脈がとれなくなった心肺停止の時刻とされています。医師による死亡判定がされた後遺体を安置するまでは一般的には次のような流れとされています。
① 臨終
※ 末期の水:お釈迦様が亡くなる直前に水を求めたという故事に由来する末期の水は、本来臨終直前に行われる儀礼でしたが、現在では遺体を安置した後に行われるのが一般的です。
② 医師による死亡判定
③ 遺体の清拭・着替え
清拭は遺体をきれいに拭くことです。病院で亡くなった場合は、看護師が手伝ってくれるのが一般的です。その後、故人が生前愛用していた衣装や、浴衣などの清潔な衣装を着せます。
④ 遺体を病院の霊安室に一時安置する
自宅ないしは葬儀社の斎場(セレモニーホール)などに搬送するまでの間、病室を空けるために病院の霊安室に一時的に安置します。なお霊安室がない病院の場合には病室を一時的に貸し切り霊安室の代わりとするケースもあるようです。
⑤ 遺体を搬送する
⑥ 遺体を自宅ないし葬儀社の斎場(セレモニーホール)などに安置する。
⑦ 次のような遺体のケアを行う
○ 末期の水
○ 死化粧
末期の水をとる
最近では葬儀社が末期の水をとるための道具の準備や、そのやり方もその場で教えてくれることがほとんどなので、何も知らなくても心配する必要はないようですが、一般的には次のような流れとなります。
① 少量の水を入れる容器(椀、グラスなど)を故人の枕元に置く
② 脱脂綿を括り付けた樒、菊の葉、割り箸、綿棒などを用意する
③ 故人と血縁の濃い順に、軽く湿らせた脱脂綿で故人の唇を少しだけ湿らせる
死化粧を施す
死化粧とは故人が生前のような穏やかで自然な表情になるように化粧などを施すことです。改めて清拭や場合によっては湯灌を行って清め、治療などによる傷口をきれいにし、着衣と髪型を整えて、顔に化粧を施します。以前は死化粧を施すのは医師や看護師の助けを借りて病院で行っていましたが、現在では葬儀社が手配する納棺師が行うことが一般的です。
最近の日本では、単に死化粧を施すだけではなく、故人をより美しく見送るためにエンバーミングを施す場合も増えているようです。エンバーミングに関しては、改めて詳しく調べてみますので、少しお待ち下さい。