冠婚葬祭に関する豆知識など、
様々なお役立ち情報をお届けします。

powered by ごじょクル

いざという時に…遺族にとって知っておきたい10の疑問

記事公開日:2016.06.29/最終更新日:2023.05.11

読了予測:約6分

非日常であるお葬式は、わからないこと、知らないことが多いものです。そんなお困りの方のお役に立つため、遺族にとって知っておきたい10の疑問にお答えします。

Q1 喪主は誰が務める?

お葬式では喪主(もしゅ)のほかに施主(せしゅ)という言葉を耳にします。喪主は「喪に服する主」という意味で、お葬式を主宰する遺族の代表のことで、施主は「お布施をする主」という意味で、お葬式の費用を負担し運営全般をとりしきる者のことをいいます。現代は、喪主と施主を同じ人が務めるのが一般的です。

旧民法時代は、家督を相続する男性が喪主を務めるしきたりでしたが、現代では遺族間の話し合いで決められています。多くの場合は、配偶者あるいは長男が喪主を務めています。喪主は複数いても構いませんので、配偶者と子ども、あるいは兄弟全員で喪主を務めるというケースもあります。

 

Q2 親族、関係者への連絡はどうすればいい?

故人が亡くなったことをお知らせすることを訃報(ふほう)といいます。故人が病院や自宅で亡くなった後に、喪主になる方を中心に遺族が協力しあって、関係者への連絡をはじめてください。連絡の方法は電話をおすすめします。

一般的な訃報の範囲は次のとおりです。

  • 菩提寺、教会など宗教者
  • 家族、親族
  • 勤務先
  • 故人の交友関係(親しい方)
  • 自治会・町内会(隣組的な互助組織が機能している場合)

 

また伝える内容は次のとおりです。

  • 故人の名前
  • 亡くなった日時
  • 死因
  • 決まっていたらお葬式の日時・場所
  • こちらの連絡先

 

逝去の第一報の段階ではお葬式の詳細は決まっていないことが多いと思います。その場合には、詳細が決まったら改めてご連絡することをお伝えして、決定後にもう一度連絡を入れるようにしましょう。

 

Q3 亡くなった後にどのような手続きが必要?

家族が亡くなった後に、お葬式までの間に急いで対応しなければならない手続きがあります。

まず、故人の死亡届を役所に提出してください。提出先は、死亡地、本籍地、居住地のいずれかの市区町村役場で、死後7日以内に提出する必要があります。

死亡届と一緒に、埋火葬許可申請書を提出してください。この申請によって、埋火葬許可証が交付されます。この許可証がないと、火葬場で火葬を行ってくれませんので注意してください。なお火葬の後には、火葬場から埋葬許可証が渡されます。故人を埋葬するときに、墓所や霊園の管理者に提出する書類です。

死亡届と埋火葬許可申請書の提出は、葬儀社による代理申請でも良いことになっていますので、葬儀社に確認しましょう。

 

Q4 無宗教のお葬式でもいい?

宗教者によるお祈りなどを行わず、形式にとらわれない自由なお葬式のことを無宗教のお葬式といい、最近では都市部を中心に増加傾向にあります。自由である一方、式として成立させるためには、ある程度シナリオのようなものを用意しないといけないので、短い期間の中で準備をするのは意外と大変かもしれません。また、親族の理解を得られにくかったり、お墓についてもある程度制限が出てきてしまう(寺院の墓所には埋葬できないことが多い)など、後々のトラブルの原因となることもあるため、遺族の間や葬儀社などともよく相談して決めましょう。

 

Q5 お葬式の日取りはどう決めればいい?

昔から「友を引くから」という理由で友引を避けてお葬式の日程を決めることが一般的ですが、友引にお葬式を行ってはいけないという法律や規則がある訳ではありません。ただし、地域にもよりますが友引の日は基本的には火葬場が休業しているため、火葬をともなうお葬式を行うことはできないことになります。

お葬式の流れは、告別式に続けて火葬を行うのが一般的で、火葬を告別式の翌日にまわすというケース、物理的には可能でしょうが常識的とはいえないでしょう。奇をてらわずに、亡くなった日の2日から4日後くらいの間に友引を避けてお葬式の日程を決めるのが良いでしょう。

 

Q6 葬儀費用はどれだけかかる?

財団法人日本消費者協会が、お葬式にかかる費用のアンケート調査を定期的に実施しています。2014年の第10回調査では、全国平均が約190万円という結果になっています。その内訳は、もっとも多いのが葬儀費用で約110万円、次が宗教関係者へのお布施などで約45万円、そして飲食接待費が約35万円となっています。

葬儀費用の中には、葬儀社に支払う、斎場などの施設関係費や、故人に遺体を配置する祭壇周りの費用が含まれていて、この費用の幅が結構大きいのが実態です。複数の葬儀社の見積を比較したり、祭壇や供花などを簡素化することで費用を抑えることができます。また、告別式の後に行われるお斎と呼ばれる会食の席の料理や飲み物の費用を抑えることで、全体の費用を圧縮することも可能になります。

 

Q7 服装で注意することは?

遺族は、会葬者の方々に失礼にならぬように、服装には次のような注意をはらう必要があります。

遺族は小さな子どもを除いた全員が、喪服を着用します。洋装、和装に関してはどちらでもかまいません。男性のほとんどが洋装ですが、女性は和装と洋装が半々です。男性の正式な喪服はモーニングですが、略礼装のブラックスーツでも失礼にはあたらないというのが最近の常識です。ブラックスーツ、白いワイシャツ、黒いネクタイ、黒の靴下、飾りのない黒靴であれば問題ないでしょう。

女性は、洋装の場合は肌の露出が少ない黒無地のワンピースまたはツーピース、ストッキングは黒または肌色。和装の場合は黒無地の着物に、黒い帯、白足袋です。持ち物やアクセサリにも気をつける必要があり、バックは金具のついていない黒、結婚指輪以外のアクセサリは外すのが礼儀ですが、真珠のネックレスかイヤリングのどちらか一つであれば良いとされています。

 

Q8 お布施の相場はどれくらい?

本来は、ご本尊に供えるもので、僧侶への読経や供養に対する対価ではなく、決まった金額は存在しないものなのです。とはいっても、実際にいくら包めばよいのかというと、地域性やお寺との関係も影響するものなので、お寺や僧侶を紹介してくれた葬儀社に相談するのが一番よいかもしれません。

僧侶に直接尋ねることも決して失礼にはなりません。その際には「皆さんおいくらくらいお包みですか」と尋ねましょう。なお、相場といえませんが、一般的には読経(通夜と本葬の2日分)のお布施として、20万円から50万円を包まれているケースが多いようです。(戒名のお布施は、これとは別です。)

 

Q9 お香典返しの相場はどれくらい?

「半返し」という言葉があります。いただいたお香典の半額を返すのが相場と考えておけば良いでしょう。もっとも、個々のお香典の額に対してきっちりと半額である必要はないので、目安としては3分の1から半額と考えておけば良く、5,000円には2,500円、1万円には5,000円、2万円以上には1万円の3パターン程度を用意するのが一般的なようです。

現代ではお葬式当日にお返しをする「当日返し」が増えているようです。この場合は2,000円から3,000円の額の品物を返すことが多いようです。当日返しをした場合に、お返しした額に合わない高額の香典をいただいてしまっていた場合には、後日半返しの額との差額に相当する品をお届けすれば良いとされています。

 

Q10 エンバーミングってなに?

亡くなった後に、故人の体を水やアルコールで拭いてきれいにして、着付けやお化粧を施すことを湯灌(ゆかん)といいますが、エンバーミングとはさらに、遺体を衛生的に保全するための措置のことをいいます。

最近では、火葬までの期間が長かったり、夏の猛暑などで遺体を衛生的に保存することが難しい環境になることも珍しくありません。エンバーミングでは防腐処理が施されるため、遺体の損壊や細菌増殖を防ぐことで感染症の予防になります。また、遺体に外傷がある場合や、やせ細ってしまっていた場合でも、修復してきれいで健康だった頃の姿に近づけることもできます。