何故「お通夜」と「お葬式」があるの?
いつの間にか自然なこととして受け入れられていることに、お通夜と葬儀や告別式があります。なにげなくセットのように考えがちですが、実際はそれぞれにどういった意味があるのでしょうか。今回は、お通夜とお葬式についてそれぞれ調べてみました。
お通夜
通夜というのは、遺族や親類、そして縁者が集まって、故人との最後の夜を過ごすことをいいます。夜は眠らないで朝まで故人と過ごすのが基本ですが、最近では夜6時頃より一時間ほどの通夜を行なう半通夜が行われることも多くなってきました。昔は、死の確認がむずかしかったので、一晩かけて死の確認をするというような現実的な意味もあったようですが、今はそういうこともなくなったので形式化してきたという面もあるかもしれません。
この通夜という儀式は、もともとは故人がもう一度よみがえることを願った儀式だとされています。そして、夜中起きていて、故人のよいところなどを語り合い、復活を望むのだといわれています。
また、別の説もあります。それは仏陀がなくなられたときに、たくさんの弟子たちが集まり、仏陀の教えについての思い出を語ったことから生まれたというものです。このとき、それぞれの知識や理解に隔たりがあったので、私たちも故人について語り合うことで故人のことを理解し、忘れていたことを思い出そうという意味があるようです。
葬儀、告別式とは
次に告別式についてみていきましょう。告別式というのは、もともとは故人の友人や知人が故人と最後の別れをする儀式のことを言いました。そのため、昔は葬儀の後、遺骨を墓地に埋葬する直前に行う儀式とされていたようです。しかし、今ではそこまで一緒に行くことがなくなってきたため、葬儀と一緒に行われることが多くなっています。
ちなみに葬儀とは、遺族と近親者が故人を成仏させるために行う儀式です。ここで参列できなかった知人や友人が告別式で別れを告げたのです。そして葬儀と告別式が一緒になったものを葬式と呼んでいます。
起源は奈良時代
通夜は奈良時代には行われていたことが確認されています。このときには特に、仏教の儀式として行われたのではなく、故人との最後のお別れをしたり、蘇生ヘの祈りを捧げるというような儀式として行われていたようです。
ちなみに葬式の起源は、あまり定かではありません。仏陀は葬式はしないようにと弟子に告げたと言われますが、実際には弟子たちは葬式に当たるような行為をしたようです。仏教的には、これが葬式の起源となるのでしょう。しかし、日本に入ってきても、最初は仏式の葬儀は行われなかったようだと言われています。実際には神主である長老が葬儀を行うことが多かったのだとか。実際に今の日本の葬儀には神道の考えに近いものが取り入れられているので、仏教と神道が混ざったような形で、江戸時代くらいに出来上がったというような説もあるようです。ちなみに、このお葬式ですが、明治時代くらいまでは一般人には行われていなかったとされています。基本的にお葬式が行われていたのは、権力者などのみで一般人は町外れに埋葬するくらいだったようです。また、告別式がはじめて行われたのもそれほど昔ではなく、明治34年に、中江兆民の葬儀の際に、遺言により告別式に当たる行為のみを行ったのが最初と言われています。
こういったことを知っておくと、お葬式に対する理解がより深まりますね。