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互助家のひとびと

第169話~第171話 おじいちゃんと男の子

★第169話「おじいちゃんと男の子(3)」

「おじいちゃんはね、弟と最後の別れをきちんとしたかったんだ。そうしないと、本当に死んだんだって思えなかったかもしれない」と男の子に語るおじいちゃん。

男の子は少し考えてから「うん。僕もお葬式に行かなかったら、また紙芝居のおじさんがここに来てくれるって思うかも…」とぼそりと言います。

おじいちゃん「君も紙芝居のおじさんのことを大事に想ってくれてたんだね。ありがとう。君の気持ちも、おじいちゃんの気持ちも、紙芝居のおじさんに必ず届いたって信じてる」

おじいちゃんが力強く断言すると、男の子も嬉しそうな表情に。続けて、おじいちゃんは弟の遺言通りに遺骨を海にまいた話もしました。

「海にまいたの…?」と不思議そうな顔をする男の子。まだ小学1年生ですから、理解できなくても無理はありません。それでもおじいちゃんは、男の子にもう一つ、大切な事を伝えたかったのです。(つづく)


★第170話「おじいちゃんと男の子(4)」

小学1年生の男の子には難しいとわかっていましたが、おじいちゃんは弟の遺言通りに遺骨を海に還した話をしました。

おじいちゃん「おじいちゃんもお墓に入れるべきじゃないかって、たくさん悩んだ。でも遺言というのは“約束”のようなものなんだ。約束は守らなきゃいけないと思ってね」

男の子「約束…」

おじいちゃん「もしも約束した相手が死んでしまったら、約束を守らなくてもいいと思うかい?」

男の子はじっと考え込み、かぶりを振りました。「約束は守らないとダメ! だって、紙芝居のおじさんはきっと天国から見てるもの」

おじいちゃん「うん。おじさんにもう会うことはできないけれど、いなくなったわけじゃない。君やおじいちゃんの記憶に、心のなかに、いる。君がふとおじさんのことを思い出す時、おじさんも天国で君のことを思っているよ」

男の子はにっこりと笑み、おじいちゃんも微笑み返しました。(つづく)


★第171話「互助家の愛犬・タロ(1)」

春の陽気の中、おじいちゃんは愛犬・タロの散歩に出掛けています。犬の散歩は、おじいちゃんの役目。朝夕、家から10分程離れた公園まで歩き、ぐるっと一周して、休憩してから帰ってきます。

おじいちゃんが公園のベンチに腰を下ろすと、タロもおじいちゃんの足元に寝そべり、うつらうつらと。最近、寝ている時間が増えたタロを見て、おじいちゃんは「おまえもいつの間にかおじいちゃんになったんだな」とぽつりと呟きました

タロが互助家に仲間入りしたのは、もう9年前。次男が小学生のとき、近所の人から子犬の柴犬を譲り受けたのです。

「飼いたい!」と駄々をこねる次男に、おじいちゃんは何度も念を押しました。「最期まできちんと面倒を見られるか」ということを。

おじいちゃんはすっかり老いたタロの背中を見ながら、懐かしい日々を思い返しました。(つづく)




 

 
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